柄本佑が語る、大河ドラマ『光る君へ』の長期撮影で改めて気づいたこと
脚本で縛られて役者は自由になる
「昨年、脚本家の山田太一さんが亡くなられて、山崎努さんが追悼文の中で、役者と脚本家の関係について書いていました。 山田さんはセリフの“てにをは”も変えてほしくない人だったそう。役者は、台本どおりに発音しなければならないわけですが、代わりに身体の自由を得るというんです。 脚本というのは、ある種、役者を縛るような行為。ただ、縛られることによって役者は自由になるという側面があるんです」 それは『光る君へ』で道長を演じていて改めて気づいた感覚であった。 「大石さんの脚本も、時代劇だから変えようがないということもある。その代わり、身体の自由を得る。縛られているんだけど、自由を見いだすみたいな。だから、そこに柵がないと感じるんです。柵を作っている行為なのに柵がなくなる。 城島さんの話をして、そこに行き着きました(笑)。役者と脚本の関係って、そういうことなんです」 のんびり屋の三男坊から栄華を極めるまで、道長の生涯を体現した。俳優としても成長し、これから何を目指すのだろうか。 「映画監督の夢は、今も持ち続けていますよ!」 “柵をなくす”という極意を身につけた柄本が監督を務める長編映画も見てみたい。