柄本佑が語る、大河ドラマ『光る君へ』の長期撮影で改めて気づいたこと
ダメ出しをされると安心する
2018年に出演した舞台『秘密の花園』は、かつて父が東京・下北沢にある『本多劇場』のこけら落とし公演として出演した作品だった。 「オファーされて、どうしようかと思ったけど、台本を読んだら、やたら面白いから、こんなチャンスはないと思ってやらせていただきました。 しかし、父が座長の劇団員がみんな見に来て。普段は僕の芝居なんか興味ないのに、父や母だけじゃなく、全員からダメ出しをくらって」 偉大な両親を持ったことで、比較されてしまうのは仕方がない。 「いや、全然ツラくないです。だって仕事だし。自分がやっていることが、合っているのか、いないのか、ジャッジしてくれる人たちで、すがりたい気持ちもあるんです。だから、ダメ出しをされると安心しますね。 子どものころからお世話になってきた人たちなので、芝居を見られるのは嫌だったけど、その反面なんかうれしかったんだろうな、今思うと」
劇団の先輩たち以外にも、尊敬する人がいる。父との共演もあった志村けんさんだ。 「僕はNHK『LIFE!』などで数回コントを経験しましたけど、志村さんはすごいと思いました。 僕は何回も撮り直し。志村さんの『だいじょうぶだぁ』は一発本番らしいです。 人を笑わすというのは本当に難しい。ただ普通にやればいいんだろうけど、普通じゃなくなっちゃう」 落語家の柳家小三治さんからも学ぶことがあった。 「小三治師匠が行き着いたのは“落語というのは、ただやれば面白くなるようにできている”ということ。落語をやるうえで邪魔になるものは、とにかく排除する。 気がついたら柳家小三治という人間もいなくなって、座布団の上にお話だけが乗っかっている。自分すら消すというのが究極なのかもしれない」
柄本佑が惚れ込む「TOKIO城島スタイル」
柄本が、以前から愛してやまないのがTOKIO。中でも城島茂に惚れ込んでいる。 「簡単に説明できないんですけど……。 グループというのは、それぞれに個性があるけど、その中である種、無個性でいるのが城島さん。目立たないでいる人がリーダー。そのおかげで、周りのメンバーは自由にキャラクターを出せる。 放牧スタイルというか“城島牧場”なんです。そして、城島牧場には“柵”がない。それがリーダーの気質だとも思うんです。 嵐の大野智くんもおおらかで、同じタイプですよね」 柵をなくすことが、俳優にとって大切なことだと痛感している。