柄本佑が語る、大河ドラマ『光る君へ』の長期撮影で改めて気づいたこと
12月15日、大河ドラマ『光る君へ』がフィナーレを迎える。柄本佑は、藤原道長の光と影を見事に演じきった。 【写真】頬を寄せ合う柄本佑と吉高由里子 「今回は、吉高由里子さんが演じる“まひろさん”のパートと、僕のパートで分かれていました。最初のころ、まひろさんが忙しいと、僕はあまり忙しくなかった(笑)。全部を1人で背負っていたらキツかったと思います」 現場の明るさにも助けられた。 「最初は変に力んじゃって疲れましたが、だんだん楽しくやらせてもらえるようになりました。まひろさんが、ずっと変わらず、いつも笑顔でおおらかな人柄でいてくれたのが最高によかった。 ファーストサマーウイカさんや、ほかのキャストも朗らかというか。そうそう、上地雄輔さんが現場にいると、すごく明るい雰囲気になりましたね」 スタッフといい信頼関係を築けたのも大きかった。 「脚本家の大石静さんの台本が、今までの大河ドラマで見たことのないような雰囲気だったのもよかった。同じチームで長いことやっていると、チャレンジできるというか。ちょっと違うと思ったら言ってくれるとか。そういう信頼関係が培われるし、最終的に“ツーカーの関係”で作れたという印象がありますね」
準備期間を含めて2年間、ずっと藤原道長を演じた
大河ドラマの撮影は、準備期間を含めて、およそ2年間。長期間ずっと道長を演じていると、役が抜けなくなりそうだが……。 「ならないです! 役に入り込む役者さんはいるけど、僕はそんなタイプではないです。それに道長は平安時代の貴族だから、なろうと思っても、簡単になれるような人物じゃない。 僕は基本的に役に近いとか、共感することはないんですよ」
父は柄本明。母は2018年に亡くなった角替和枝さんという役者一家。幼いころから芝居や映画が身近だった。 14歳で撮影に挑んだ、2003年公開の映画『美しい夏キリシマ』で俳優デビューする。 「家族でよく一緒に映画を見ていて、映画監督になりたいと思うようになりました。 森繁久彌さんの“社長シリーズ”とか、すごいと感じます。自分がこの世界で仕事をすると、三木のり平さんや小林桂樹さんも、究極的な芝居だなと思いますね。 あと、アメリカ人ミュージカル俳優のフレッド・アステアが好きです。 彼のすごさは、僕でもできそうと思えるところ。いざやってみたら全然できない(笑)」 アステア好きは、祖母の影響でもある。 「おばあちゃんはジョン・ウェインが嫌いで、アステアが大好き。海外へ日本未公開のビデオを買いに行くような人でした。とにかくアステアが好きで、玄関にポスターを張って、家の奥にはアステアのビデオをビッシリ詰め込んでいました。僕のコレクションする癖は、完全に祖母と母からの影響です」 角替さんも、ある俳優のビデオを集めていた。 「家を建てる際、母が“ここは私のコレクション用”として作った棚があるんです。そこにはレオナルド・ディカプリオが出演している映画のビデオがズラリ。“私、面食いのはずなのに、なんで父ちゃんと結婚したんだろう”って言いながらビデオを見ていました(笑)」 父から演技についてのアドバイスをもらうことも。 「僕のほうから聞いたことは、ほとんどなくて。ポロッと言われるんですよね。“今のでいいよ”みたいな感じで」