衆院選の公示前、演説を行う自民党総裁の石破茂首相と公明党の石井啓一代表（左）＝13日午後、東京都荒川区（関勝行撮影）

衆院解散後最初の日曜日となった13日、与野党党首はテレビの討論番組や街頭で政策を訴えた。石破茂首相（自民党総裁）と公明党の石井啓一代表は埼玉県草加市と東京都荒川区、武蔵野市の計3カ所で並んで街頭演説を行い、「政治とカネ」をめぐる逆風の中、与党の結束をアピールした。草加市は石井氏が出馬する小選挙区に含まれ、トップ自身の厳しい選挙事情も背景にある。 【グラフィックでみる】衆院選、石破茂首相の勝敗ラインは？ 「石井代表は間違いなく、この草加から新しい日本を作る。自公連立政権は日本を再び強い国、温かい国、優しい国にしていく」。首相は草加駅前の演説でそう訴えた。就任後初の街頭活動に連立パートナーの選挙区を選び、配慮を示した。 派閥パーティー収入不記載事件で与党には大逆風が吹く。加えて公明は基盤の大阪府で日本維新の会と初の全面対決となり、危機感は強い。 9月に代表に就任した石井氏も小選挙区は初挑戦だ。比例代表との重複立候補をしないことを表明し、まさに背水の陣となる。演説では「今までこの地域の方で石井啓一と名前を書いた方は、残念ながらいない。本当に厳しい戦いだが、どんな状況であろうとも、負けるわけにはいかない」と声をからして訴えた。 異例の対応にも危機感が垣間見える。公明は不記載事件で自民が非公認とした三ツ林裕巳＝埼玉13区、西村康稔＝兵庫9区＝の両氏を推薦した。 三ツ林氏は「10増10減」による区割り変更前の旧埼玉14区を地盤としてきたが、その一部は石井氏が出馬する新14区に組み込まれた。三ツ林氏からの支援を当て込んだ推薦なのは明白だが、公明関係者は「批判されるのは分かっていた。それだけメリットがあるということだ」と漏らす。 一方、野党は攻勢を強める。立憲民主党の野田佳彦代表は、与野党党首がそろい踏みした13日のNHK番組で「十数年ぶりの（政権交代の）チャンスだ。自公の過半数割れを実現し、教育無償化や子育て支援にもっと力を入れる」と強調。仙台市内での街頭演説にも臨んだ。 維新の馬場伸幸代表も大阪府堺市、国民民主党の玉木雄一郎代表も高知市などで街頭演説し、支援を訴えた。（長橋和之）