「ユニクロ」6割のボリュームゾーンの店舗スタッフが自ら動くように変えた仕組み化の効果
世界的なアパレルブランドであるユニクロの強さは、創業者である柳井正氏のリーダーシップによるものという印象が強いかもしれません。しかし、それ以外にも、従業員が自律的に考え、行動できるような「仕組み」も備えているのです。元ファーストリテイリング執行役員の宇佐美潤祐氏氏の新刊『ユニクロの仕組み化』から一部抜粋・再構成のうえ、その仕組みの中身についてお届けします。 ■社員全員が「経営者マインド」を持つ ユニクロがすごいのは、一度仮説を立てて実行すると、ひたすらトライアンドエラーを繰り返し高度化できることです。これも仕組み化されています。
毎週月曜日に全社や店舗ごとの前週の売り上げ実績が出ます。思っていたより売れなかった商品や他の店で売れている商品などが目に見える形で明らかになりますので、それらを参考に自分の売り場づくりにフィードバックして修正します。 仮説、実行、改善を繰り返すことで、知見がたまって、好循環のサイクルを自分で回せる店舗スタッフが明らかに増えます。自ずとスタッフひとりひとりの経営者マインドも育ちます。 スタッフが次の課題を自分で見つけ、それをどんどん解決して、より大きな成果が出るようになります。成果が出ればそれはスタッフの大きな自信となり、モチベーションも上がります。ひとりひとりが育てば、店舗全体も成長するのです。
その結果、地域のイベントと連動しながら、 欲しいときに欲しいものがあり、買い物がしやすい売り場を生み出せるようになりました。お客さま満足の向上とともに、店舗スタッフも変わったのです。 言われたことを受け身でやるのではなく、自律的に考え行動するようになり、モチベーションが上がったり、やりがいを感じたりする人も増えました。うまくいっている店舗の事例は全社で共有され、学び合うことでさらなる質の向上にもつながりました。
■ユニクロの理念を「自分事化」する「仕組み」 おそらく、みなさんの中には「店長ならばともかく、店舗スタッフにしてみれば、『経営者マインドを持て』と言われるのは重荷では」と感じた人もいるかもしれません。 確かに、「究極の個店経営」は店舗スタッフが主役です。スタッフが主役といっても、スタッフにやる気がなければ実現しません。教育の仕組みなどで、モチベーションが高まり自律的に取り組んでいる人もいますが、一方で腰掛け的に働いている人がいないともいえません。「社員でない人にそこまで求めるのか」という声もあるでしょう。