「ユニクロ」6割のボリュームゾーンの店舗スタッフが自ら動くように変えた仕組み化の効果
ひとりに頼らず、現場の知恵を生かしながら、全員で最も良い方法を見つけて実行する方が現実的です。むしろ、そうした「仕組み」を社内に持っていない企業は、世界市場では決して勝てません。「全員で経営を行う組織」=「全員経営」が必須になります。 ひとりひとりが経営者マインドを持ち、ひとりひとりが自営業者のように主体的に自律して働く、自分で考えて結論を出し、自分で実行する。そうした姿勢が欠かせません。 ■【ユニクロの仕組みの柱②】全員経営
こうした意識から、ユニクロは2009年のスローガンに「グローバルワン」と同時に、「全員経営」の文言を盛り込んでいます。この2つはセットであり、今もユニクロの仕組みの土台になっています。 2014年に打ち出した「究極の個店経営」も「全員経営」の延長線上にあります。「全員で考えるなんて無理がある」「現場の人はそんな意識は希薄」という意見は常にありますが、柳井さんは「山口県宇部市から世界的なファッション企業が出ると誰が思ったか。誰も想像できないことを僕ができたのだから、あなたもできる」とよく言っていました。
本気で勇気を出して挑戦しないからできないだけで、失敗してもいいと考えて諦めずに実行したらいつかはできる、無理だと思わずにやってみろということです。柳井さんは志を自らの言葉で語り続けることで、求心力を高め、リーダーシップを発揮し続けてきました。 志を達成するために、ミッション=使命、ビジョン=どうありたいか、アイデンティティ=存在意義を明確に掲げることで、賛同する人々の集合体としての会社をつくろうとしていました。これもひとつの「仕組み」です。
ただ、ビジョンが明確であればあるほど、賛同しない人も当然出てきます。うまく「仕組み」にはまらない人たちです。読者のみなさんも、仕組み化を考える際にぶち当たる壁になるはずです。 結論からお伝えしますと、「仕組み」を組織にうまく定着させるには、完璧を目指さないことが重要です。ユニクロでも全員の心に無理やりにでも火をつけるような姿勢はとっていなかったというのが私の解釈です。 「全員経営」を掲げていても、ひとりも漏らさずに働く人すべてを意識づけるのは無理です。小規模の組織だと全員に機能する「仕組み」を求めがちですが、これも現実的ではないのです。