「ユニクロ」6割のボリュームゾーンの店舗スタッフが自ら動くように変えた仕組み化の効果
「スタッフのモチベーション向上」というとどうしても精神論になりがちです。個別に相談に乗ったり、対応したりして解決する空気がまだありますが、一気に変えられるのは「仕組み」です。 そして、チームや組織の規模が大きくなればなるほど、「仕組み化」の効果もまた大きくなります。 ■【ユニクロの仕組みの柱①】グローバルワン ここまででもユニクロがいかに「仕組み」によって成り立っていて、運営されているかは理解できたと思います。「仕組み」が組織を大きく変え、成長・企業価値創出エンジンになってきたといっても言い過ぎではありません。ここからは全ての仕組みの土台となる考え方を改めて紹介します。
ユニクロの基本となる仕組みは「グローバルワン・全員経営」です。これはユニクロの強さを語る上では不可欠な「仕組み」です。まず、グローバルワンの「仕組み」です。 ユニクロは2006年にグローバル化を宣言しました。アジア、北米、欧州、オーストラリアで業績は大きく伸び、23年8月期の海外売上高は約1.4兆円、本業の儲けを示す営業利益は約2000億円になっています。これは10年前と比べて、それぞれ約6倍、約12倍と大きく成長しています。
もちろん、ひとりひとりが必死に取り組んだ結果ですが、がむしゃらに事業を拡大した結果ではありません。「仕組み」の効果が大きいのです。海外人材もただ優秀な人材を採用して配置するだけではなく、「仕組み」をつくって、人材を採用、教育しています。 ユニクロの理念や原理原則を活用することで、グローバルでぶれない企業文化を構築し、人材に厚みを持たせることができています。店舗オペレーションの原理原則も「仕組み化」していて、環境変化にすぐ対応できるようなプラットフォームが社内にできあがっています。
世界中の全店舗の販売状況や在庫状況、お客さまの声を分析した情報などをいつでもどこからでも確認できます。これらのデータは365日24時間共有されていますので、国や地域、店舗ごとに常に戦略を見直し、修正する柔軟な体制につながっています。 グローバル化が進めば進むほど、企業全体で判断して意思決定する場面は増えます。ただ、当然ですが、限られた数の幹部社員が全世界に指示することは不可能です。いくら優れたリーダーでも、ひとりでできることには限りがあります。