三越伊勢丹の名物バイヤー、神谷氏がサステナビリティ推進部マネージャーに就任 新境地を語る
WWD:それがその後の、2023年「リスタイルアーカイブ」、デニム以外の生地の残反も加えた「ピース de ミライ」へとつながりました。 一連の取り組みの中で難しいと感じたことは?
神谷:本業である小売り・ファッションとサステナビリティを組みつけてビジネスとして成立させることです。サステナビリティの活動は「今すぐ儲からないとやらない」という訳でもない。本業の戦略とサステナビリティを組みつけることで、結果として“経済的価値”と“社会的価値”の双方の向上につながります。企画の質の向上と規模の拡大を通じて、経済性と社会性の双方を追求することは難しかったです。
また、衣食住で質の高い・幅広いコンテンツとの協業や小売り他社との連携もポイントになりました。社内外の多くの人を巻き込み最終的には一人のバイヤーの企画から、会社規模の企画に引き上げたことは誇りです。
顧客のサステナビリティに対する関心度の変化
WWD:顧客のサステナビリティに対する関心度の変化をどうみていますか?
神谷:2013年から行っている顧客アンケートをホームページでも公開していますが、「当社のサステナビリティ活動を知っていますか?」の質問に対してかつては20%程度だった「イエス」が23年には50%を超えました。また「三越伊勢丹が取り組むべき課題」に関しては、21年度までは「商品の品質」がトップだったのに対して、22年度からは「食品廃棄物の削減」となり、サステナビリティにつながることに関心を持たれていることがうかがえます。
自由回答には「百貨店だからこそ、ラグジュアリーとサステナビリティを両立させてほしい」という声や「百貨店をきっかけに知ることが増えた」もあがっています。印象的なのは一時期聞かれた「サステナビリティはトレンドだよね」という言葉が最近はほとんど聞かれなくなったことです。
ファッションとサステナビリティは両立する
WWD:神谷さんが考える「ラグジュアリー」とは?