弾劾と内乱容疑に直面する尹大統領、今後の動きは
(CNN) 韓国国会で、「非常戒厳」を出した尹錫悦(ユンソンニョル)大統領に対する弾劾(だんがい)訴追案が可決された。これにより、活気あふれる民主主義国家に戒厳令を宣布するという驚くべき決断が引き起こした政治的対立が一つの節目を迎えた。 尹氏が辞任を拒否したことで、弾劾訴追案が提出され、与党からは少なくとも12人が賛成に回った。 しかし、尹氏の運命が決まったわけではない。 尹氏は現在、憲法裁判所での弾劾審判の決定を待っている状況だ。憲法裁判所の判断によって、正式に大統領職から解任されるか、大統領職に復帰するのかが決まるが、この手続きには最大で6カ月かかる可能性がある。 尹氏に対しては出国禁止の処分が出された。尹氏はまた、内乱の容疑などで一連の捜査の対象となっており、有罪となれば、最高で死刑や無期懲役となる可能性がある。 尹氏の将来がどうなるのか、以下で見ていこう。
正式な弾劾への長い道のり
14日に行われた弾劾訴追案の可決は国会の外のデモ参加者から喜びの声で迎えられたが、これは尹氏の大統領の任期を正式に終了させるための長く困難な手続きの第一歩に過ぎない。 次の手続きは現在、憲法裁判所に委ねられている。憲法裁判所には弾劾訴追案を支持するかどうかについて、最大180日の猶予が与えられている。この間、韓悳洙(ハンドクス)首相が大統領職を代行する。 憲法裁判所は弾劾をめぐり16日に最初の会合を開いたほか、最初の弁論準備手続きを27日に行うと明らかにした。 尹政権をめぐっては野党が閣僚や検察についても弾劾の動きをみせているが、憲法裁判所は尹氏の弾劾を「最優先」で取り扱うと約束している。 2016年の朴槿恵(パククネ)大統領(当時)の弾劾訴追では憲法裁判所が決定を下すまで3カ月かかった。朴氏は汚職や職権乱用で20年の実刑を受けたが、その後、特別赦免が与えられた。 盧武鉉(ノムヒョン)大統領の場合は04年に憲法裁判所が2カ月にわたる審議の後、弾劾訴追案を棄却したため5年の任期を全うした。 今回の尹氏の弾劾をめぐっては、別の要素も審議を複雑にしている。憲法裁判所の裁判官は本来9人だが、退職した裁判官の補充が遅れており、6人しかいない。 韓国の憲法では、弾劾が支持されるには少なくとも6人の裁判官の賛成が必要となる。つまり、今後数週間のうちに空席を埋めない限り、尹氏を正式に罷免(ひめん)するためには、現在の裁判官が全会一致で弾劾を支持する必要がある。 与野党は今月末までに3人の裁判官を任命することを目指している。 憲法裁判所が弾劾訴追案を支持すれば、尹氏は韓国の民主主義史上、最も在任期間の短い大統領となる。弾劾訴追案が認められれば、60日以内に大統領選を実施する必要がある。