2025年も超重要「フィンテック10大トレンド」、DXやAI、BaaSはどうなる?
SME向けサービスの拡大
インボイスへの対応を始めとして、決済・会計・受発注などの中小事業者(SME)向けのサービスもフィンテックの注目領域である。 「DXの崖」の一部でもあるが、SMEでの決済・経理・受発注業務でのデジタル化の遅れは再三指摘されてきた。 全国中小企業振興機関協会の調査(2021年)によると、中小企業82.9%は請求業務において紙の書類を郵送、経理業務では40%がExcelなどのような表計算ソフトを利用、振込では54%が銀行まで赴いて窓口やATMを利用、61%は通帳記帳して入金確認しているというように、人手のかかる作業が温存されており、デジタル化の余地が大きいことが確認された。最近では、こうした状況の改善に役立つSME向けの導入ハードルの低いBtoB取引プラットフォーム、企業間カード決済、業務特化型SaaS、会計ツール、受発注管理ツールなどが登場、さらなるメニューの拡充が予想される。 法制度の変更も追い風となっており、2023年10月に導入されたインボイス(適格請求書)制度や2024年から本格運用されている改正電子帳簿保存法への対応によって、フィンテックソリューションを導入した中小事業者もみられる。 さらに2025年中には、2026年度末までに全面電子化される紙の約束手形と小切手への対応についても検討が進むものと予想される。
ネット金融犯罪のさらなる増加
フィッシングなどによるネットバンキングの不正送金とともに、ネット購買におけるクレジットカードの不正利用、SNS型詐欺など、インターネットを舞台とした犯罪が増加している。 たとえば、警察庁によると、最近急速に拡大しているSNSの偽広告などを通じた「SNS型投資詐欺」の被害額は2024年10月に前年同期比3.9倍の約748億円となり、恋愛感情などを抱かせ主に投資話を持ちかける「ロマンス詐欺」は前年同期比2.3倍の約311億円となっている。 また、その手口も次のような点で変化を遂げ、さらにこの傾向は続くものと考えられる。 ・次々と新しいバリエーションが出現し、多様化 金融機関や当局はさまざまな機会をとらえて注意喚起を行っているが、新しい手口が次々に登場しており、被害者が後を絶たない状況は当分続く。 ・ディープフェイクを利用するなど、高度化 AI技術の進歩により、ディープフェイクを用いた音声や映像を生成し、金融機関や顧客を欺く手口が出現している。音声認識システムを悪用した詐欺が増加しており、2025年には画像技術を含めた不正が増加する。 ・犯罪集団の関与など国際的に組織化 従来「オレオレ詐欺」などに従事していた犯罪集団がネット金融犯罪に参入しており、多くの不正手口が国境を越えて組織的に行われており、摘発しても末端にとどまる場合が多い。 顧客の注意喚起を含め、個別金融機関にできることには限界があり、競争領域ではない不正対策については業界横断の取組みを強化していくことが必須と考えられる。