軽自動車だから「軽油」!? 誤“給油”はなぜ起こる? 間違って入れてしまったら「どうなる」のか
「軽油」という名称が紛らわしい!?
軽自動車に誤って「軽油」を給油してしまうケースがあるといいます。なぜ間違う人が発生するのでしょうか。 そして、もし間違って軽油を入れてエンジンを始動してしまった場合、どうなるのでしょうか。 【画像】「えっ…!」これが高速道路で「絶対やってはいけない」行為です!(30枚以上)
改めて言うまでもなく「軽油はディーゼル車の燃料」で、軽自動車には「ガソリン」を給油するのが正解です。 しかし今もなぜ誤給油が発生してしまうのでしょうか。 まず「軽油」という紛らわしい言葉が原因のひとつです、 軽油は、文字どおり「軽い油」であり、「軽自動車用の燃料」という意味ではありません。 軽油とガソリンはどちらも原料が原油(石油)です。加熱炉で熱し、常圧蒸留装置を用いて温度別に抽出をして作られます。 軽油は240℃から350℃、ガソリンは35℃から180℃で抽出されます。 ちなみに、灯油は軽油より低い170℃から250℃で、この温度はジェット燃料と同じです。 また重油は「残油」と呼ばれる種類のひとつで、アスファルトの原料もこれに分類されます。 さらにガソリンは、異常燃焼のしにくさを示す「オクタン価」の違いで「レギュラー」と「ハイオク(ハイ・オクタン価の略称)/プレミアム」に分かれています。 オクタン価の調整は原油から抽出されたガソリンに化学物質を添加して行われます。 原油から抽出されたままの添加剤が入っていない状態のものを白ガソリン(ホワイトガソリン)と呼び、工業用洗浄液などの用途に使われています。 この原油からの抽出、精製の違いは、燃え方の違いとなり、この燃料の特性を活かして、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンが開発されています。 もっとも軽自動車はすべてガソリン車ですので、「軽自動車用の燃料」はありませんし、原油から抽出する方法でそれを実現することもできません。 ガソリンは常温常圧で蒸発しやすく(気化しやすく)燃えやすいというという特徴があり、軽油は高温高圧で燃えやすいという特徴があります。 2019年に起きた放火事件でガソリンが使用されたことを契機に、以降はガソリンスタンドでの車両以外の携行缶などへの給油が厳格化されました。 この背景のひとつに、ガソリンが非常に燃えやすいという理由があります。 なかでも軽油は高温高圧で燃えやすい特性があります。 エンジンの燃料として使う場合には、ガソリンエンジンより高い圧縮比、高い温度で燃焼させるため、エンジンの構造を強固にする必要がありますが、大きな力を得ることができます。 このことからディーゼルエンジンの大排気量化を容易にし、強大なパワーを必要とする大型トラック、バス、重機の原動力にするには最適な燃料といえます。 ただ排気量が小さくなると高温高圧に対応させることが難しく、パワーが出にくいという難点がありました。 排出ガス対応も含め、小型ディーゼル車の市販化は難しいといわれていましたが、スズキが0.8リッターのディーゼルエンジンを開発し、2024年6月にアジア市場向けの市販車に搭載しています。