【独自取材】危険運転致死で逮捕も不起訴 再捜査で一転して起訴 「娘の死の真相を」検察の判断に翻弄された遺族の1114日の闘いの記録【ABC特集】
検察の判断は“不起訴” 両親は「あまりに理不尽」「納得できなかった」
両親は女が起訴され、裁判で何があったのか明らかになると思っていました。 ところが事故から1年1カ月ほど経った、おととし8月19日。和歌山地検の検察官から突然「今回は立証が困難な事故です。嫌疑不十分で不起訴にします」と告げられたといいます。 不注意で事故を起こした際に適用される、過失運転致死罪での起訴も見送られました。 (父・正義さん)「なぜ過失運転(致死罪)にも問えないのか?一気に不起訴になってしまうのか?あまりにも理不尽さを感じました」 別の日には、検察官に「罪に問えるかグレーだと起訴はできない」と言われたといいます。 (母・典子さん)「真っ白であれば罰せられないのは理解できるんですけども、グレーだと色が混じっている時点で、これは(罪に)問えるんじゃないかなって。納得できなかったです」
両親が検察審査会に不服申し立て 「不起訴不当」で再捜査へ
―不起訴のままで汐里さんは納得するのか? ―事故の原因がうやむやになってもいいのか? 翌月、正義さんと典子さんは真相に迫るべく動き出しました。まずは当時の状況を多くの人に知ってもらおうと、 記者会見を開きました。 女が不起訴になっていることもあり、知っていること すべてを伝えることはできない、もどかしさを抱えながら 思いを発信しました。 (父・正義さん)「被害者参加制度を使って直接、裁判所で加害者に問いただすつもりでした。娘の無念を思うと、このまま刑事裁判できないのは悔しすぎます」 (母・典子さん)「娘は被害者で亡くなったという事実があるのに。今の状態では、加害者がいないという状態になっております」 両親は検察に捜査資料の開示を求め、資料の一部が送られてきました。そこに記されていた詳細な証拠を見て、なぜ起訴できなかったのかさらに疑念が深まりました。
おととし11月には不起訴処分を不服として、検察審査会に審査の申し立てをしました。 悲しみと落胆の中、弁護士らとともに検察からの説明や開示した資料などをまとめ上げ、判断の見直しを求めました。