【独自取材】危険運転致死で逮捕も不起訴 再捜査で一転して起訴 「娘の死の真相を」検察の判断に翻弄された遺族の1114日の闘いの記録【ABC特集】
7ヵ月後、申し立てを受けての結論がまとまります。 検察審査会は「不起訴処分は不当」として、過失運転致死傷罪での起訴の可能性を検討すべきとしました。 その理由として、女が医師から2度、持病を理由に運転をやめるよう注意を受けていたこと、そして事故発生の2~17秒ほど前に異常を感じた際、運転を中止することも可能だったなどと指摘しました。 両親の行動の結果、検察は再捜査を始めました。
「おまえの分まで頑張る」命日に誓った真相解明
事故から2年、汐里さんの命日。 両親は事故現場となった紀の川大橋を訪れました。 母・典子さんはあの日以来、事故現場を車でほとんど通っていません。 (母・典子さん)「ここを車で通るっていうことは、なんか娘に悪いなって。踏んじゃうのは悪いなって」
検察の2度目の判断を前に、両親は汐里さんにこんな言葉をかけていました。 (父・正義さん)「『俺たちはお前の分まで頑張るぞ』。それと『事故の詳細をすべて明らかにしてやるぞ』ということを伝えました」 (母・典子さん)「『どうにか、はい上がれる光が見えたかな』『だから応援してね』ってお願いしました」 2023年の犯罪白書によると、嫌疑不十分での不起訴の末、再捜査(検察審査会で「起訴相当」「不起訴不当」)となった今回のようなケースでの起訴率は1割から2割程度。遺族としては検察を信じるしかありません。
期待と不安を抱きながら…事故から3年が過ぎた
それから9ヵ月後の今年3月。ここまで検察からは「再捜査を担当する新たな検察官が決まった」という連絡のみ。 弁護士が交渉してこの日、初めて直接話を聞けることになりました。 (父・正義さん)「(判断まで)大変遅いです。まあ慎重に捜査をしていただいていると思うんですけれども、ちょっと不安なところもございます」 移動の車中でそう話し、検察に向かいました。2時間後、正義さんは… 「詳細は(捜査)継続中ということで、説明できないんですけれども、しっかり捜査をされているっていうことは確認は取れました」 期待を抱きつつも、結論が出されないまま事故から3年が経過しました。