いまさら聞けない「トラクション・コントロール」って何? いつ使う? 仕組みと役割をざっくり解説
仕組みと目的 何のためにある?
「トラクション・コントロール・システム(TCS)」は、間違いなく何千人もの命を救ってきた技術である。 【写真】「四駆」の走りを全身で味わえ!【アウディ・クワトロを写真で見る】 (14枚) 凍結した道路を走ったり、大雨の中で急加速や急ブレーキをかけたりすると、スピードメーターなどの近くでTCSのマークが点灯する。見たことがある人も多いのではないだろうか。 『AUTOCAR』誌が初めてTCSを取り上げたのは1982年のジュネーブ・モーターショーで、ボルボが電子制御トラクション・コントロール・システムを発表したときだった。これはタイヤのスピンを検出し、他の車輪と同期していない車輪にブレーキをかけるものだ。滑りやすい状況に直面したときに、クルマがスピンして制御不能になるのを防ぐことが目的である。 それ以来、各メーカーはさまざまなバリエーションのTCSを採用してきた。1980年代後半、BMWは安定性を制御するトルク・コントロール・システムを導入した。メルセデス・ベンツが1995年に導入したESP(エレクトロニック・スタビリティ・プログラム)は、車速、操舵角、ヨーを監視し、自動的にブレーキをかけて車体の安定を保つというものだった ■トラクション・コントロールとは? トラクション・コントロールは、タイヤと路面の摩擦力、すなわちグリップが低下した場合にこれを検知し、適切な対策を講じる電子制御システムである。急加速時、急ブレーキ時、滑りやすい路面での走行時など、トラクション(タイヤと路面の間の駆動力)が低下した瞬間に作動する。 ■トラクション・コントロールの仕組み トラクション・コントロールは、各車輪が連動して動くように自動的にブレーキをかけたり、エンジン出力を一部カットしたりしてタイヤのグリップを維持する。 TCSが導入される前は、ドライバーは加速時にホイールスピンを起こさないようにアクセルを慎重に踏んでいた。今日、TCSは出力の供給をより効果的に制御し、ホイールスピンのリスクを低減している。 雪や氷、雨のコンディションでは、TCSはグリップが低下している特定の車輪にブレーキをかけることができる。 ホイールロックしないようにブレーキを緩和するアンチロック・ブレーキ・システム(ABS)とは異なることに注意してほしい。