いまさら聞けない「トラクション・コントロール」って何? いつ使う? 仕組みと役割をざっくり解説
「オフ」にすることはあるの?
■トラクション・コントロール・システムの役割 トラクション・コントロールは、道路を走り、車線を維持し、クルマを制御し続けるために存在する。また、クルマが曲がるときに、オーバーステアにならずドライバーの思い通りに曲がるようにする。それゆえ、高性能車でドリフトをするときにはトラクション・コントロールをオフにするのが一般的だ。 ■作動しているかどうかを確認するには? トラクション・コントロールが作動すると、ダッシュボードのインストゥルメント・パネルにランプが点灯する。トルクが調整される瞬間、人によっては車体がガクッと揺れるのを感じるかもしれない。また、ブレーキがかかって急に減速することもある。 TCSが本来の機能を果たさずに異常をきたしている場合は、インストゥルメント・パネルの警告灯がまったく点灯しない(あるいは点灯したまま消えない)、加速時にタイヤが空転する、凍結した箇所を走行したときに目立ったアシストが得られない、などの現象が起こる。 雨の中を運転していて、まるで氷の上を滑っているような感覚を覚えたことがある方は、一度クルマを点検に出してみてはいかがだろうか。 ■どのような場合に設定を調整したり、オフにしたりするべき? 公道では、トラクション・コントロールを常にオンにしておくことをお勧めする。ただし、クローズドコースにおけるスポーツ走行など特殊な条件下では、システムの介入度を下げたり、オフにしたりすることもある。 多くの高性能車には、トラクション・コントロールの制御に影響を与えるさまざまな走行モードがある。例えば、フェラーリのマネッティーノ・ダイヤル(2004年にF430に搭載)を使用すると、トラクション・コントロールの強度を切り替えることができる。スポーツモードは通常、スリップを少し許容する程度だが、レースモードは基本的にすべてのシステムが無効になる。 トラクション・コントロールを完全にオフにするのは、主に趣味でスポーツ走行を楽しむためであり、サーキット走行中に電子制御が邪魔にならないようにするためだ。 レースイベントでは通常、トラクション・コントロールのような補助装置の使用を禁止していることが多い。レースではトラクション・コントロールを無効にした方が有利になる場合もあるが、イベントが終わったらオンに戻すことを忘れずに。
AUTOCAR UK(執筆) 林汰久也(翻訳)