ECB、夏季休暇明けに次の戦略見直しを開始へ-関係者
(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)は次の金融政策戦略見直しを間もなく開始する。事情に詳しい関係者が明らかにした。結果は将来の金利の動向と危機対応の土台になり得る。
見直しはユーロ圏20カ国の中銀とともに行われ、8月のECB夏季休暇後に開始される可能性が高い。非公表の情報であり最終決定はまだだとして関係者が匿名を条件に述べた。政策委員会は2025年後半に結論を出したいと考えているという。
今回の見直しは恐らく、21年に終了したほぼ20年ぶりの見直しよりも短期間で、範囲も限られる見込みだと関係者は語った。しかし、将来のインフレ要因や最近の危機からの教訓についての議論が含まれる可能性があり、重要な意味を持ち得るという。
ECB報道官はコメントを控えた。
現在ECBは、記録的な高インフレを抑制するために前例のない利上げを実施した後、どの程度のペースで政策を緩めるべきか思案している。ECBは今月利下げを開始したが、次の行動について明確な示唆はない。
ECBは3月に、金融政策の実施方法を定めたオペレーション枠組みについて1年3カ月わたる見直しを終えたばかり。その結果、金利を操作する現行システムを継続するとともに、業務に必要な手元資金の量について銀行により多くの発言権を与えることを決めた。
21年の戦略見直しでは、物価安定の新たな定義を中期的目標の2%から上下対称の範囲とした。ECBは当時、25年にも新たな見直しが行われる可能性を示唆していた。
来年見直しを完了させるためには早急にプロセスを開始する必要があると関係者は述べた。最初のステップは主に準備的なもので、作業の流れや作業部会に関する決定が含まれる。前回は、インフレ測定、政策手段、コミュニケーションなどの主要分野を13の作業ラインで検討した。
作業部会が分析を終えた後、ECBの関連委員会や政策委員会で詳細な議論が行われる。
議論のテーマ
最新の見直しのテーマはまだ議論中で、最終的な合意は得られていない。しかし、最近の高インフレからの教訓が含まれる可能性がある。また、より定期的な供給ショック、地政学的不確実性、気候変動、高齢化、脱グローバル化といった構造的問題の中で、どのように行動するのが最善かを検討するかもしれない。