海外と比べトップクラスに緩い日本の「企業団体献金」どうすべきか 独立した監督機関を設置、公開や検索性を高めるべきだ
【日本の解き方】 企業団体献金をめぐり、「全面禁止」や「上限規制を設ける」など、各党がさまざまな案を出している。実効性があり、透明性を高めるには、どのような案がふさわしいだろうか。 【写真】談笑する石破茂首相と立民・安住淳氏 まず、政治資金について海外がどうなっているのかをまとめてみよう。先進国では政治資金に規制があるが、①収入の公的助成なしで寄付を規制する②収入の公的助成の拡充で対応する③支出で規制する④収支の公表で対応する―というパターンがある。 米国は①と④だが、寄付規制はスーパーPAC(特別政治活動委員会)を経由するという事実上の抜け穴があるので④のみといってもいい。英国は③と④、ドイツは②と④、フランスは①から④を組み合わせた制度が基本となっている。 これを企業献金の視点でみれば、米国は原則禁止であるが、スーパーPACがあるので事実上は制限はあまりない。ただし、スーパーPACでも外国人・外国親会社の介在などの規制は厳格だ。英国やドイツでは企業献金は原則規制なしだが、フランスは全面的に禁止されている。 公的助成制度の視点からみると、米国はほぼなし、英国は少額あり、ドイツは日本並みの政党助成金あり、フランスは日本の3分の1程度の政党助成金がある。 なお、日本とこれらの国を比べて、顕著に異なっているのは監督機関だ。日本では行政機関である総務省が形式的な審査を行っているが、米英独仏では独立の機関または立法府が政治資金についての実質的な監督を行っている。 日本では今年、政治資金規正法が改正され、こうした独立機関を設置する附則第15条が盛り込まれた。改正法は、2026年1月1日に施行されるので、それまでに設置することが望ましい。 こうした海外の状況からみると、「収支の公表」と「行政府でない独立した機関が監督する」という点は、ほぼ共通している。日本でも、先の改正政治資金規正法の附則どおりに独立した機関を作れれば、形式的には先進国並みになる。 公的助成制度は先進国トップクラスであるが、企業献金規制もトップクラスで緩い。ドイツと似ているともいえなくもないが、フランス並みに、企業献金禁止という選択肢もあるだろう。まあ、日本の場合、まだ独立機関もなく、もし独立機関ができても当分の間、監督は不十分だろうから、それを補う意味で、企業献金禁止というのは、先進国での規制からみても、合理的と考えてもいいだろう。