「貧しい日本」を生きる子どもに大人ができること 大人世代と同じ教育で幸せになれるのかという大きな疑問
学校行事も同様で、個人が主体的に活躍できる場面は少ないです。何事においても同調圧力が強くて、周りに合わせられない子は生きづらい思いをします。こういう環境では組織の歯車になる人は育ちますが、独創的なアイデアをひらめいたり、やりたいことを主体的にどんどん実行したりするような人は育ちません。 学校でも家庭でもそういう環境で育ち続けて、大人になって仕事を始めてから急に「みんなと同じじゃダメだ。他がやっていない企画を考えろ。オリジナリティを出せ」と言われても無理に決まっています。
■教育予算を増やして学びの個別最適化を実現しよう 学校も家庭も、横並び主義から抜け出す必要があります。特に日本の学校はアップデートする必要があります。つまり、もっと子ども1人ひとりの興味関心や学力に応じて学べるスタイルに変えていく必要があるのです。これを学びの個別最適化といいます。そうすれば、オチコボシもフキコボレもなくなり、どの子も自分の能力とペースに応じて伸びていくことができます。 とはいえ、先生たちは超ブラックな労働環境の中で既に精一杯やっていて、これ以上のことを求めるのは無理です。必要なのは、教育予算を増やして先生の数を増やし、少人数教育を実現して個別最適化ができる態勢を作っていくことです。先進各国は既に少人数教育に舵を切っています。
日本もそうすべきです。そのためには、教育に向ける予算を増やす必要があります。ところが、日本の教育に対する公的支出は、GDPの2.8%で、OECD平均の4.1%を大きく下回り37カ国中で36位(2019年時点)。ちなみにその前年は最下位で、その前には6年連続最下位を記録したこともあります。 どの国もお金に余裕があるから教育予算を増やしているわけではありません。どの国も一様に大変なのですが、それでも教育の大事さがわかっているから増やしているのです。そこが日本と違うところです。