「正直、そんなに売れないでって気持ちも(笑)」漫画家志望の高校生男女の青春物語『描くなるうえは』著者コンビと“師匠”絵本奈央氏の「師弟鼎談」が実現!!
――その後、高畑先生は自身の連載のために現場を抜け、絵本先生は『荒ぶる季節の乙女どもよ。』(原作:岡田麿里先生)を経て、『ジョゼと虎と魚たち』(原作:田辺聖子先生)の連載を始めました。 蒲:『ジョゼ虎』から絵本先生がデジタルを取り入れ出して、もう追いつけない状態になりました。序盤の水のシーンとか、無音の表現が特にすごいんです。 絵本:蒲さんのおかげです。この頃の蒲さんは、いいなと思ったものをどんどん吸収して自分のものにしていて、本当にすごいなと思いました。最後の見開きも蒲さんなんですよ。 蒲:いやいやいや。 絵本:ネームの時点でここの背景は絶対に蒲さんだなと思ってました。今見ても、ベタの中にも情報が見えたり、ちゃんと白く抜けてるのに質感があったりと、本当に上手だなと思います。私は最後にトーンを貼っただけです(笑)。 蒲:ベタの中に情報を入れるというのは、絵本先生に教えてもらったことなんです。
――そして、高畑先生が前作の『人類を滅亡させてはいけません』の連載を始める際、蒲先生が作画担当をつとめることになり、職場を離れました。 絵本:蒲さんにはずっと頼りっぱなしで、蒲さんありきでマンガのクオリティを保っていたので、いなくなるとなったときは「あー! まあしょうがないか」って思いました(笑)。 高畑:蒲さんに作画担当を頼むってなったときは、「いろんな人から恨まれるんだろうな」と思いました(笑)。 蒲:ご迷惑をおかけして申し訳ございません…。 絵本:いえいえ、全然です! ――絵本先生は今年、最新作『新本格魔法少女りすか』(原作:西尾維新先生)の連載を終えられたところです。 蒲:『りすか』はもう、脳味噌を溶かしながらじゃないと描けないというか(笑)、毎ページ初めて見るような演出が入っていて、雲の上の存在になってしまったなと思いました。 絵本:ありがとうございます(笑)。 蒲:今も描いているとき、絵本先生みたいに描くにはどうしたらいいかってずっと思ってます。参考にしようと思っても背中も見えなくて…。 絵本:いえいえ、逆に私が『描くなるうえは』を参考にさせていただいてます。めっちゃスクショ撮ってます(笑)。 蒲:えぇ! ありがとうございます。