ニューヨーク人情酒場 寿司職人見習いは10時間体力勝負の過酷な労働。癒やしは絶品まかない飯と理想の息子すぎる同僚
一見華やかな大都会、ニューヨークでの暮らし。しかし、生活にはお金がかかる! 生活を維持するために多くの移民が働く場所、それは飲食店。 【マンガ】ニューヨーク人情酒場(続きをまとめて読む)
単身やってきたニューヨークで飛び込んだ先は大衆酒場。愉快な同僚と寿司との出会い、そして別れ。 仕事って、生活って、幸せってなんだろう?そんなことを考えながら寿司を巻く日々のこと。
寿司職人見習いの1日
寿司職人見習いとしてのキャリアを無事にスタートさせたヤマモト。今度のお店はチャイニーズのニックさんが仕切るお寿司のレストラン。 大陸からアメリカに移住したチャイニーズのビジネスの特徴といえば、誰もがとんでもない働き者であること。そして、ボスであるニックさんへの尽きることのないリスペクトを感じる職場でもありました。 ここの職場はバー・キッチン・給仕のスタッフは主にラテン系、そして寿司場のスタッフは全員チャイニーズという分布になっていました。日本食のお店ではあったものの、なんとお店全体で日本人は私1人だけ! お店には日本の居酒屋メニューもたくさんありましたが、これも全てラテン系の皆さんが調理していて、どれも絶品。中でも揚げ出し豆腐はお気に入りでした。 寿司場の共通言語はマンダリン(標準中国語)、当然ひとことも話せませんし、誰が何を言ってるのかもさっぱりわかりませんが、寿司場のやさしいみんなのおかげですぐに溶け込み、日々は忙しくも楽しく過ぎていくことになるのです。
オレンジくん
やっぱりこの職場でのハイライトといえば教育係のオレンジくんに尽きます。近年稀に見る良いキャラクターだったなあ。この職場を離れてしばらく経ちますが、今でも忘れられない思い出です。 彼はあまり口数が多くないのに、お店のみんなに好かれていましたが、それはきっと要所要所に滲み出る生真面目さ、心優しさによるものだったと思います。 私はいつも寿司を巻く時はオレンジくんの隣だったのですが、テンパっていると必ず見捨てずに助けてくれたり、海苔を切らさないよう常に補充してくれたり、何かしてあげると必ずお礼を言ってくれたり、本当に良い子なのが伝わってきました。きっと親御さんとの関係も良いのだろうなと想像したり。 しかし、移住してきた理由を聞いてみると「母国よりもアメリカの方がお金が稼げるから」というかなり現実的な理由で笑ってしまったのでした。 このお店で働いている時にオレンジくんと顔を合わせない時はなかったのですが、一度も嫌な思いをしたことがなかったのは彼の人柄のおかげとしか言い表せません。
作者:ヤマモトレミ 89年生まれ。福岡県出身。2017年、勤めていた会社の転勤でニューヨークに移住。仕事の傍ら、趣味でインスタグラムを中心に漫画を描いて発表していたところ、思った以上に楽しくなってしまい、2021年に脱サラし本格的に漫画家としての活動を開始。2022年にアメリカで起業し個人事業主になりました。アメリカで食っていくために寿司をやっていくことを決意し、週4ブルックリンで寿司をつくっています。
ヤマモトレミ