「最初は落ち込んでいた。いまはもう一個のミスも気にしなくなった」。チェイス・アンリインタビュー
ドイツ・ブンデスリーガのシュトゥットガルトDFチェイス・アンリが独占インタビューに応じた。 【動画】チェイス・アンリインタビュー:ブンデス、CL、トップでの経験編 「Jリーグに行っても自分の実力では出られないと思っていた。だから、自分と年齢が近い選手たちと真剣勝負ができる場所を選んだ」。2022年4月、尚志高からJリーグを経由せずに、直接ドイツのシュトゥットガルトに加入したチェイス・アンリ。現在20歳のセンターバックはドイツの地で急速な成長を続けている。 加入当初はシュトゥットガルトのU-23チームに所属し、レギオナルリーグ(ドイツ4部)で試合出場を重ねてきた。今季はセバスティアン・ヘーネス監督の信頼を得てトップチームでの出場機会をつかみ、ブンデスリーガはじめ欧州CLの場でも“バチバチ”の試合を経験している。12月3日には、トップ昇格後DFBポカールで初ゴールも記録した。 「男子、三日会わざれば刮目して見よ」という故事成語がある。人は3日あれば成長するという『三国志』由来の言葉だが、まさに今のチェイス・アンリがそうだ。見るものを驚かせるその成長の源は何なのか。インタビューは2年前の決断を振り返るところから始まった。(聞き手:林遼平 構成:吉村美千代/GOAL編集部)
技術の練習が必要だと思い、選んだドイツ
――高校を卒業して即、シュトゥットガルトに加入した理由をあらためて教えてください。 日本を選んでJリーグに行っても自分の実力では出られないと思っていました。だったら、英語も喋れますし、海外のセカンドチームなどで、自分と年齢が近い選手たちとやったほうが良いかなと思いました。 高校3年生の夏(シュトゥットガルトに)練習参加を2週間半くらいしたんですけど、あるコーチが技術練習をしてくれる人で、その時にそういう練習が僕には必要だと思いました。技術の練習を毎日したかった。それが一番大きな理由です。 ――実際加入にして、ヨーロッパの選手と日本の選手の違いを感じていますか? よく言われる「レベルの差」はみんなが思っている以上にはないと思います。実際違うと感じるのは、海外の選手は怖がっていない部分が多いところ。メンタル面を含め、自信を持ってプレーしているところが一番の違いだと思います。 ――それは対峙してあらためて分かったのですか? 対峙してみると「相手がビビっていない」ことが分かります。こちらに来てから感じたことは、周りのみんながノビノビと自信を持ってプレーしていること。僕も最初は自分に自信がなかったので「ビビって」いたとは思います。 ――最初はシュトゥットガルトU-23チーム(ドイツ4部・レギオナルリーグ)所属でした。 セカンドチームでしたが、周りの選手は上手かったですし、僕にも足りない部分がすごくありました。だから技術練習も毎日やりましたし、練習も結構キツかったんですけど、「やるしかないな」というメンタルでやっていました。 ――そういう時期、自分を向上させるために誰かに相談等はしましたか? (原口)元気選手(現・浦和レッズ)がすごく練習に付き合ってくれました。二人でボールタッチのスキルを上げるトレーニングをやっていましたし、トレーナーとも一緒にトレーニングをしました。一緒に練習をして僕も自分が上手くなっている実感がありましたし、そこからちょっとずつ自信がつくようになった感じです。 ――レギオナルリーグの特徴は? レベルが低いと思われているかもしれないですけど、意外と強いチームが多いんです。1部(ブンデスリーガ)と比べてしまったら、もちろん上手くはないかもしれませんが、少し年齢が上の選手や本当に上手い選手もいる。結構、試合中は(球際のバトルなど)バチバチで、最初のほうは苦戦する選手も多いと思います。 実際僕も最初はボールを持った時、かなり苦戦しました。レベルが高いところだと思いましたし、フィジカルバトルも多かった。そういう意味でも4部からスタートして良かったです。それまで日本ではあまり激しいプレーをしていなかったので、本当にいい経験になりました。