75 歳からのがん治療で「薬物療法」を選ぶなら ~長期に及ぶ薬の管理方法や異変に気づく方法
がんに罹患する方の半数近くを75歳以上の方が占めています。75歳というのは、日常生活に制限がなく過ごすことのできる期間、健康寿命とされる年齢です。 【前編はこちら】自分の状態に合った、効果的な治療法を知る 個人差がありますので一律にとは言えませんが、おおよそ75歳を超えると、がんへの対応は、治療の効果と心身への負担のバランスを取りながら考えていくことが大事になります。 高齢の方ががん治療を選ぶ際に知っていただくと役立つ情報をまとめた一冊『75歳からのがん治療 「決める」ために知っておきたいこと』より、役立つ章をピックアップしてお届けします。 前編<【75歳からのがん治療】自分の状態に合った、効果的な治療法を知る。術前からできるリスク回避法>
薬物療法の場合治療にともなう不快な症状は減らす方法があります
がんの薬物療法に用いられる薬といえば抗がん剤、抗がん剤といえば副作用が強いというイメージが強いかもしれません。しかし、がんの治療薬は年々種類が増えています。従来から用いられてきた、いわゆる抗がん剤だけでなく、特定の対象に的を絞って作用する薬(分子標的薬)や、免疫の働きに作用する薬(免疫チェックポイント阻害薬)などが使用できる場合もあります。 有害な影響はできる限り防ぎ、防げなければ適切に対処しながら治療を続けていきます。
がんの治療薬のタイプ
■ホルモン療法薬 前立腺がんや乳がん、子宮体がんなど特定のホルモンががんの増殖をまねく要因になるがんに対しては、そのホルモンの分泌や働きを妨げる薬を使い、がんの増殖を防ぎます。 ■従来からの抗がん剤 細胞の増殖を止めて死滅させる作用がある殺細胞性の薬。分裂・増殖のスピードの速いがん細胞によく効きます。しかし、正常な細胞にも作用は及び、さまざまな副作用につながります。 ■免疫療法薬 薬そのものががん細胞を攻撃するのではなく、自分の免疫細胞が、がん細胞を攻撃できるようにする薬もあります。免疫チェックポイント阻害薬はその一種です。 ■分子標的薬 特定の分子(タンパク質など)を目印にして攻撃する薬の総称です。効果が期待できるがんの種類やタイプなど、使用条件は限られています。