多くの日本人が知らない!「台湾有事」が度々ウワサされる「驚きの理由」
民進党政権下でつづく緊張
一つは、2016年に台湾の総統が国民党(中国国民党)の馬英九から民進党の蔡英文に交代して以降、中国が民進党に「台湾独立分裂勢力」というレッテルを貼って軍事的な威嚇を強めているためです。 蔡政権は馬前政権と異なり、中国が台湾との対話の前提としている「1992年コンセンサス」を否定しました。 「1992年コンセンサス」とは、1992年に中国と台湾の窓口機関の間で形成されたとされるものです。中国側はこれを「双方が『一つの中国』原則を確認した」と主張し、台湾側は「『一つの中国』原則の解釈をそれぞれが表明することを確認した」と主張しました。 馬政権はこの解釈の食い違いをそのままにしながら、「1992年コンセンサス」を基礎に中国との対話や交流を進めました。しかし蔡政権は、中国が「1992年コンセンサス」の台湾側の解釈を認めないことなどを理由に、これを前提とした中国との対話を否定しました。これに対して中国は、蔡政権を「一つの中国」原則を否定する「台湾独立分裂勢力」と見なし、軍事的威嚇も含めて圧力を強めたのです。 2024年5月、民進党の頼清徳が新しい総統に就任しました。頼総統も蔡前総統と同様、両岸関係の「現状維持」を掲げていますが、同時に「中華民国と中華人民共和国は互いに隷属しない」(総統就任演説)などと述べて、中国が主張する「一つの中国」原則を否定しています。 これに対し中国政府は、頼総統を「台湾独立派」と非難し、「台湾独立は破滅への道であり、どのような名目や旗印を掲げようと、台湾独立を推し進めようとすることは失敗する運命にある」(外交部報道官)などと述べて牽制しています。 民進党政権が続く限り、中国は台湾に対する圧力を強め、緊張の高止まり状態が続くことが予測されます。 >>議論の内容をさらに詳しく知りたい方は「「台湾有事」衝撃の結果予測!唐突すぎる「方針転換」に相次ぐ怒りの声「聞いてない」」もお読みください。
布施 祐仁(ジャーナリスト)