転換期を迎える琉球ゴールデンキングス、安永GMが語るチーム作りの哲学(前編)「選手の伸び代を大切にするのがキングスのやり方」
今村佳太の契約途中での移籍「こういう時が来るかもしれない、とは常に覚悟はしていました」
――オフシーズン、今村佳太選手が契約解除で移籍したのは話題となりました。主力選手が契約途中で去ったことは大きな驚きでしたが、それは想定外でしたか。 今村選手からは、これまでも海外に挑戦してみたいという考えを聞いていました。彼は現状に満足せず、常に上のレベルを求める向上心が高い選手です。新潟からキングスに移籍した時も、とても決断のいる移籍だったと思いますが、向上し続けられる環境を目指してキングスに来てくれました。だからこそ今回の契約解除は総じて、今村選手の意思を尊重したキングスの判断です。 想定していたかで言えば、こういう時が来るかもしれない、とは常に覚悟はしていました。彼は中途半端な気持ちで仕事をしない選手です。もちろんキングスのエースとして、重要な編成メンバーとして計算していましたので、引き留めはしましたが、無理やりチームに残したら、おそらく彼は非常に不完全燃焼な形でシーズンを迎えることになってお互いのために良くない。だから本人の意思を尊重しました。 ――海外挑戦を目指す中、名古屋ダイヤモンドドルフィンズに加入したことで、結果的にライバルへの移籍を許した点。また、複数年契約を結んでいたのに契約解除という部分も含めて、モヤモヤした気持ちを抱えた人も少なくなかったと思います。 タイミングが良ければ海外に移籍できたかもしれないですし、海外クラブとの話が上手くまとまらずに名古屋Dに行ったのかもしれないです。そこは我々には分からないことですし、彼のネクストステージについて、私から何か言えることはありません。また、契約はビジネスの世界であり、双方が合意したら契約を解除できるわけで、契約したからと一方的に縛るのはよくありません。国内クラブに移籍する可能性もあるのはわかっていましたが、彼の挑戦を止めようとは全く思いませんでしたし、これまでの貢献に感謝しているからこそ、これからの活躍も期待したいですね。 ――長年、キャプテンとして抜群のリーダーシップを発揮していた田代選手も移籍しました。再び岸本選手がチームをまとめる立場となるのか、どのように考えていますか。 どちらかといえば、若い選手たちが、どんどんチームを引っ張っていってもらいたいです。岸本選手や小野寺選手のようなベテランには苦しい時の対処法など、様々な経験があります。しかし、年々、Bリーグのレベルが上がっていて、これまでの常識が通用しないことも出てきます。だからこそ、これから成長していく若手がリーダーシップを発揮してくれることで、チームも一番勢いが生まれると思います。
鈴木栄一
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