「2024年秋ドラマ」オススメ5作&傾向分析 “超安定路線”で際立つ「日曜の難しさ」とは
一方、序盤で評判がいいのは、TBSの看板枠・日曜劇場の『海に眠るダイヤモンド』(TBS、日曜21時)と、兄弟の物語に不穏な事件を絡めた『ライオンの隠れ家』(TBS、金曜22時)あたりか。前者はTBSが誇るプロデュース・新井順子、演出・塚原あゆ子、脚本・野木亜紀子のトリオが手がける品質保証、後者はTBS伝統の「金曜ドラマ」らしいヒューマン&ミステリーを追求したどちらもオリジナルで、力作と言っていいだろう。 また、賛否はあれど、夫に他人の子どもを育てさせる「托卵」がテーマの『わたしの宝物』(フジ、木曜22時)、首相と国民が入れ替わる政治ファンタジー『民王R』(テレ朝、火曜21時)の異色作はネット上の話題となっている。 さらに難しさを感じさせられるのが、日曜放送のドラマ。翌日の仕事や学校が頭をよぎる日曜夜は“刑事・医療・法律の一話完結ドラマ”という定番では視聴率も反響も得ることは難しく、それ以外のジャンルで挑むケースが多い。 今秋も、「愛と青春と友情、そして家族の壮大なヒューマンラブエンターテインメント」と掲げたスケールで勝負の『海に眠るダイヤモンド』、大学生の何気ない幸せな日々を描いたヒーリングドラマ『マイダイアリー』(ABC・テレ朝、日曜22時15分)、150年超前の名作をベースに四姉妹の恋と人生にスポットを当てた『若草物語―恋する姉妹と恋せぬ私―』(日テレ、日曜22時30分)が放送されている。 今秋に限らず「制作サイドがやりたいものを選んでいる」というより、日曜夜の視聴者心理を考えて模索しているが、TBSが局を挙げた大作を続ける日曜劇場以外はうまくいっているとは言い難い。 視聴率獲得をほぼ求められず、スケジュール、人、金、編成の自由度が高いNHKの『宙わたる教室』(NHK総合、火曜22時)、『3000万』(NHK総合 土曜22時)と比べると、なおさらその難しさを感じてしまう。