スタンドの座席をちょっと増やすだけで数十万円!? ゴルフトーナメント会場設営の舞台裏を担当者に聞いてみた
台風接近で組み立てたスタンドを解体することもある
バンセイ株式会社はサッカー、ラグビーのワールドカップやオリンピックといったビッグイベントなど、多くのスポーツ競技会場の設営に関わってきた会社。国内男女ゴルフツアーでも、現在は30のトーナメント会場を手掛けているのに加え、日本で開催される唯一のPGAツアートーナメントとして有名な「ZOZO チャンピオンシップ」の会場設営も行っています。 【写真】バレたら“永久追放”!? これがマスターズで“持ち込み厳禁”の品目です 「PGAツアーは会場設営に使われている予算が日本のトーナメントに比べて桁が違います。人気選手が出場するとなるとギャラリーの数が増えるので、それに伴なってスタンドや施設の数も増えていくといった感じです」と同社の担当者。具体的にどんな流れで会場設営は行われていくのでしょうか。
トーナメント会場ができるまでの流れを聞くと、「トーナメントの1~2週間前からギャラリースタンドやテントを設営していきます。何をどこに配置するかなどの設計に関しては、毎年開催されているコースなら半年から3ヶ月前に打ち合わせ。初めてトーナメントを行うゴルフ場であれば1年ほど前から設計の調査をスタートします」 「会場の視察を行ってプランを組み立て、そこから主催者様のご予算に合わせて設置するギャラリー席や施設の数を調整していきます」(同社担当者) 予算に合わせて、ギャラリー席を数十席単位で増減するといった細かい調整も行われることも少なくないとのこと。ちなみにギャラリー席が数十席増減すれば、見積もり金額として数十万円変わるそうです。 また、トーナメントの会場は大会スポンサーの宣伝の場です。設営ではできる限りスポンサーの希望に沿った会場を作り、看板の向き一つに関しても神経を使うそうです。 「よい会場を作るに当たっては大会スポンサー、トーナメントの運営会社そしてゴルフ場と、いい信頼関係を築くことで大切です。そうすればトラブルやイレギュラーなことが起きても、お互いに協力し合ってスムーズに解決できます」(同社担当者) 大会に向けての会場設営は1~2週間前から始めるということなので、ゴルフ場が通常営業している中で準備が行われるということです。プレーの妨げにならないよう、作業中の音や機材の置き場所などに配慮しながら進めなければなりません。 しかも最近では大雨など天候不良がやっかいな存在になっているそうです。台風が来ようものなら、設置した施設を一度解体するといったこともあり得るため、その見極めが本当に難しいそうです。 設営には長い準備期間が必要なうえ、作業期間中も天候によって作業は大きく左右される。なかなか一筋縄ではいかない仕事といえます。