皆が思っているほど完璧じゃないクルマ 「弁慶の泣き所」を抱えた名車 20選
フォード・シエラ(1982年)
1982年、当時欧州で絶大な人気を誇っていたフォード・コルチナに代わって登場したのがシエラだ。現代性と信頼性、親しみやすさを同時に実現するという、非常に難しい課題を背負っていた。そのため、エアロダイナミックなボディラインが大々的に宣伝された一方で、その下には昔ながらの後輪駆動とコルチナと同様のピント・エンジンが搭載されていた。 決して使い勝手が悪いわけではないが、コスワース・エンジンとターボチャージャーを搭載した後期型4WDを除けば、ほとんど印象に残らなかった。リフトバック式のテールゲートという新機能もあまり好評ではなく、全体的なシルエットは「ゼリー型」と揶揄された。 フォードは1987年に4ドアのサファイアをラインナップに加えるなどし、こうした批判に対応しようとした。しかし、何やかやと忙しくしているうちに、オペル/ヴォグゾールから出た前輪駆動のキャバリエが、欧州の販売台数チャートで一気に躍進した。
キャデラック・アランテ(1987年)
この2人乗りのキャデラックは、「世界最長の生産ライン」を誇る自慢の新製品だった。どういう意味かと言うと、ボディはイタリアのピニンファリーナによって作られた後、特別にあつらえられたボーイング747(ジャンボジェット)で空輸されて、米国で組み立てられたのだ。 スタイリングもピニンファリーナによるものだが、オープントップのメルセデス・ベンツSLやジャガーXJSのような目立った個性はなく、あまり記憶に残らなかった。1993年の最終モデルにはキャデラックの優れたノーススターV8エンジンが搭載されている。
ダイハツ・スポルトラック(1989年)
英国仕様のスポルトラック(日本名:ロッキー。欧州ではフェローザとも呼ばれる)は、1990年代初頭のアウトドア趣味には非常に適した選択肢だった。田舎のアパート管理者なら誰もが欲しがるような四輪駆動車で、ダイハツ・アプローズのリーズナブルな1.6Lエンジンを搭載している。 同時代のスズキ・ビターラと並んで、スポルトラックは初のコンパクト・スポーツ・ユーティリティ・ビークルであった。しかし、時代の流れは厳しい。スポルトラックの発売からわずか5年後、トヨタRAV4が登場し、ベンチマークを塗り替えた。 決定的な違いは、RAV4がモノコック構造を採用し、オンロードでもオフロードでも優れた性能を発揮することだ。スポルトラックはラダーフレーム・シャシーを採用しているため、オンロードが苦手だった。