皆が思っているほど完璧じゃないクルマ 「弁慶の泣き所」を抱えた名車 20選
ランチア・ガンマ(1976年)
ピニンファリーナが手掛けた市販車の中で最も高く評価されたデザインの1つであるランチア・ガンマ・クーペは、カーマニアの間では1970年代の名車としてよく知られた存在だ。そのセダンモデルは、当時も今もまったく影が薄い。 技術的には、前輪駆動のアルミニウム製4気筒「ボクサー」エンジンを採用したランチア・フラビアの延長線上にある。このカテゴリーで6気筒エンジンが人気を集めていた当時、2.5Lの4気筒エンジンを採用するのは不可解な選択だった。 購入者は、5速MTや素晴らしい路上追従性など、あらゆる面で優れたドライビング体験を楽しむ傍ら、エンジンのカムベルト問題や振動をはじめとする設計上の欠陥、および品質のばらつきに対する重大な懸念に向き合わなければならなかった。 また、高級車のオーナーはATを好んだが、ランチアは1983年までATの設定を拒んでいた。本質的には素晴らしいクルマだが、製品としては貧弱なものだった。
ローバー3500 SD1(1977年)
V8エンジンとフェラーリのようなノーズを持つ、5ドアのローバー3500 SD1は、英国車ファンなら誰もが憧れる存在である。憧れなければならない、という法律ができそうなほどだ。しかし、欧州における高級スポーツセダンの競争で先頭に立ったのは、BMW、メルセデス・ベンツ、アウディ、そしておそらくサーブであった。 SD1は、先代P6のレーシングカーのようなリアサスペンションから昔ながらのライブアクスルに変更されたが、いまいち振るわない理由はそれだけではない。ローバーの従業員たちは、大切な顧客に常に質の高い仕事を提供できなかったのだ。 ドイツ車は全体的に優秀で、整備工場のメカニックよりもオーナーと一緒にいる時間の方が長かった。愛国心という理由から、英国警察だけがSD1に固執せざるを得なかった。
デロリアンDMC-12(1981年)
テスラ・サイバートラックは21世紀のデロリアンになるだろうか? 両車に共通しているのは、非実用的なステンレススチール・パネルを使用しているということ。そして、業界の異端児によって生み出された “無用” な発明品であるということ。 ジョン・Z・デロリアン氏は「倫理的に正しいクルマ」という思想を掲げ、自動車業界に教訓を与えようとしたが、大失敗に終わった。デロリアンDMC-12はロータスのシャシー、ルノーのエンジン、そしてガルウィングドアを組み合わせたが、短期間で失速。結局、1980年代を席巻したのはポルシェだった。