皆が思っているほど完璧じゃないクルマ 「弁慶の泣き所」を抱えた名車 20選
見過ごされがちな弱点
ここで紹介するのは、駄目なクルマというわけではなく、世間一般のイメージとは少し異なるクルマだ。「過大評価」という言葉はあてはまらないものの、見過ごされている欠点がいくつかある。 【写真】スポーツカーの理想像! 欠点はあれど最高のドライバーカーだ!【トヨタGT86を写真で見る】 (29枚) これらのクルマが素晴らしい特徴を数多く持つことは間違いないが、一部、世間の評価が実際よりも少し誇張されているところもある。その一部をピックアップし、なぜ大げさな評判になり得るのかを考えてみたい。
ランドローバー・シリーズI(1948年)
英国が生んだ名車ランドローバーは、あらゆる民間オフロード車の祖先として賞賛されている。初期の自動車でありながら、今でも荒れた路面を走破することができるのは印象的だ。しかし、「デュアル・パーパス(不整地にも舗装路にも対応)」というコンセプトは失敗だ。 合法的に舗装路を走行できることに異論はないが、リーフスプリング、ラダーフレーム、重たいアクスルが回転し、揺れ動くため、運転はできるだけ短時間にとどめ、乗員の背骨、歯、関節、神経をいたわるべきだ。このクルマは乗用車ではないと考えて、オフロードに徹すれば大丈夫だ。
フォルクスワーゲン「ビートル」(1950年)
1930年代にデザインされた安価なエコノミーカーが60年もの間販売され続け、2100万台も作られたというのは驚異的な現象だ。とはいえ、ビートルが現代の自動車のパターンを決定づけたわけではない。 ビートルを賞賛する人たちが、一方で危なっかしいクルマだと考えているのもまた事実である。リアエンジンのレイアウトと偏った重量バランスは、推奨されるべきものではない。 1960年代半ば、特に米国におけるビートルの評判は芳しくなく、脆弱な構造、安全システムの欠如、貧弱なブレーキは時代錯誤も甚だしいとされた。「でも信頼性はとても高い」と人々は言った。あるいは、簡単に修理できることに惑わされたのだろうか? ビートルの魅力は奥深いが、もしゴルフがもっと早く登場していたら……。
MGB(1962年)
ビートルと同様、歴史によってただならぬオーラを放ち、適切な分析ができないクルマがもう1台ある。1962年に登場したMGBは、モノコック構造で確かな性能を持ち、特に英国では崇拝の対象となっている。 しかしその一方で、扱いにくいコックピット、重いステアリング、壊れやすいエンジン、部品の劣化が早いことなど、あらゆる不都合を備えている。 親会社のブリティッシュ・レイランドは、ライバルのほとんどが生産中止となったことから、わざわざ新型を開発する必要はないと判断し、1980年まで販売を続けた。その頃には、すっかり「生きたアンティーク」となっていた。2人乗りスポーツカーの典型として丁重に扱われてきたが、それもマツダMX-5(日本名;ロードスター)が登場するまでの話である。