6話考察『海に眠るダイヤモンド』「好きだ」と告白する鉄平(神木隆之介)
鉄平(神木隆之介)と朝子(杉咲花)、賢将(清水尋也)と百合子(土屋太鳳)、進平(斎藤工)とリナ(池田エライザ)。3組のカップルが幸せを掴むけれど……。日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(TBS 毎週日曜よる9時~)6話を、ドラマを愛するライター・釣木文恵と、イラストレーターのオカヤイヅミが振り返ります。
「園芸部の朝子」が現代のいづみの礎に
いづみ(宮本信子)が朝子(杉咲花)と判明した5話を経て、6話では朝子が現代のいづみに繋がる行動を起こしていく。 朝子を休みなく働かせ、彼女の意思は無視して「誰でもいいから結婚しろ」と従業員から見繕おうとする両親。現代から見ればなかなかひどい話だと思うが、いづみも言うとおり「そういう時代」だったのだろう。「食堂の朝子」として忙しく働きながら、部員わずか9人の「園芸部」に参加してささやかな花を楽しんでいた朝子。端島に緑がないことをあげつらう記事を知り、鉄平(神木隆之介)と話す中で、端島の屋上緑化を思いつく。百合子(土屋太鳳)の入れ知恵もあって食堂仕事のストライキをしたり、長崎の業者と直接交渉をしたり。賢将(清水尋也)や鉄平の協力もあり、その思いは炭鉱長・辰雄(沢村一樹)をはじめとして島中を巻き込んでいく。 現代のいづみも、会議で植栽について話している。デベロッパー的な会社なのか、緑化に特化した会社なのかは不明だが、とにかく「園芸部の朝子」が現代のいづみの礎になっていることがわかる。 屋上で花や草木が十分に育ち、かつ水やりをしても階下に水漏れしない、屋上緑化に最適な土を求める試行錯誤の姿が、鉄平の日記の日付に沿って描かれる。このドラマの制作陣がこれまで作ってきた『アンナチュラル』(2018)や『MIU404』(2020)の事件に対する探索・解決パートを思わせるテンポのよさだ。そんな「お仕事回」感のある6話の合間合間に鉄平と朝子が互いに距離を近づけていく描写があり、そしてラストの告白シーンに繋がる。