新学年に慣れてきたら始めたい!身の丈に合った“我が子サイズ”の「おこづかい」。金銭感覚と家事スキルが身に付く「3STEP」の渡し方【ママFPが解説】
都度あげる?毎月定額をあげる??
おこづかいの渡し方として、大きく2種類あります。お手伝いのたびに渡す「報酬制」と、毎月決められた金額を渡す「定額制」です。どちらにしても、“お金は労働の対価” “お金は感謝のしるし”ということを、身を持って経験できるお手伝いは重要なポイントです。金銭感覚と家事スキルを両方身に付け、自立の大きな一歩を鍛えるおこづかい制。まずファーストステップとして「報酬制」からはじめましょう。 1:お手伝いの習慣をつける報酬制 お手伝いしてお駄賃をもらうという、シンプルで分かりやすい方法です。 ●メリット ・お手伝いを頑張った分、すぐにお金が手に入り労働の対価であることを感じやすい ・お手伝いを自分で考え、やりがいをもって積極的に動くようになる ●デメリット ・欲しいものができるたびにお手伝いすればいいと考え、我慢する自制心が育ちにくい ・お手伝いの内容を選び、お手伝いがただのお金目当てになる可能性もある お手伝いの内容と金額は、その場の思い付きで決めるのではなく、必ずあらかじめ設定しておきましょう。簡単なものから少し頑張らないといけないものまで、段階的に値段設定することで、「同じ値段だから簡単な方を選ぼう」ということを防ぎます。 また、心配な無駄遣いを防ぐには、少し高価な欲しい物を決め、貯めて買えたという成功体験を早めの段階でさせてあげることです。低学年なら中身の見える瓶で “貯まる経過を見せる”ことが効果的です。高学年ならおこづかい専用通帳を子どもが親と一緒に作りに行って貯める経験をすると、大人に近づいたようで子どものやる気もアップするでしょう。 2:お手伝いの習慣ができたら、お金のやりくりを学べる定額制 毎月、決まったお手伝いを“お仕事”として担当してもらい、定額でおこづかいを渡す方法です。この方法は“将来に繋がるお金のレッスン”そのものだと言えます。 ●メリット ・決められた金額を一定期間でやりくりすることで、節約や貯金が習慣になり、管理能力が身に付く ・担当するお手伝いは家族の一員としてのお仕事になり、家事スキルが上がる ・欲しいものと必要なもの区別し、優先順位をつけることを覚えられる ●デメリット ・毎月一定の金額が手に入るため、何もしなくてもお金はもらえるものと勘違いし、お金の大切さを実感しにくい ・お手伝いが習慣化していないと、さぼりがちになる可能性も 最初はあっという間に使ってしまい悔しい経験もするでしょう。そんなたくさんの小さな失敗を通して、限りあるお金の中でのやりくりを覚えていきます。少し慣れてきたら、金額をアップし“自分のためのお金”“人のためのお金”“未来のお金(貯金)”と3つの予算に分けて管理することをおすすめします。 こうすることで、自然に“先取り貯金”を覚えて、将来の家計管理にスムーズに繋げていくスキルになるでしょう。貯める楽しみも使う楽しみも覚えながら、定額制だからこその自分サイズのお金の価値観が育っていきます。 また、自分のお金となると子どもの真剣度は高まるので、ぜひ、渡しっぱなしにせず、毎月の“振り返り親子会議”をするのもおすすめです。満足度の高かった使い方、後悔した使い方、それぞれ子どもが自分を客観視できるようにサポートしながら、記録を付け、信頼度UPの親子時間になるといいですね。 3:社会の仕組みを理解できるミックス制 筆者の家では、最終的には定額制+報酬制の「ミックス制」を採用しています。定額制の仕事をした上で、プラスのお手伝いに関しては上限を決めてプラスのお小遣いを渡しています。こうすることで、必要に応じてより多くのお手伝いを頑張ってくれています。社会での、「固定給+出来高による歩合給」の疑似体験ですね。 生きていくには、固定額の中でやりくりするスキルも大事ですが、自分でお金を生み出す力も必要と考えているからです。
おこづかいの可能性は無限大
FPとしてご相談いただく中で、お金の価値観を大人になってから修正することは容易なことではないと感じています。 Tさんのお子さんにも、親の目が届く間に、大小たくさんの失敗を重ねて、安心の中、自分らしいお金との関係を築いていってほしいなと思います。お金への関心や意欲はその子それぞれ。その子らしく頑張る姿に、おこづかいの可能性は無限大だと感じています。 北村 由紀 ファイナンシャル・プランナー
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