自動車チューニングメーカーの「脱炭素戦略」。50周年を迎える老舗・トムスの社長にも直撃!
――今回、東京オートサロンの取材で、カスタマイズ業界の脱炭素戦略という面が見えたんですけど、長く生き残れる企業って何かイノベーションを起こしていますよね。ほかのサードパーティを見てもやっぱり生き残るところは生き残るなりの何かを見つけて動き始めている。 谷本 繰り返しになりますが、電動化の流れは、われわれにとって死活問題になりますから(笑)。 ■レストモッドされたスープラ ――要するに今年創業50周年を迎えるトムスはレース活動、カスタマイズ、そして電動化の三刀流で進む? 谷本 ガソリン車のニーズは必ず残ると思っています。トムスは地道にファンづくりも含めてやっていけば時代が変わっても問題ないかと。 ――普通はモータースポーツもカスタマイズも電動化方向にみんな行きたがる。だけど、トムスはしっかりとそこを切り分けているのが興味深い。 谷本 既存のカスタマイズ事業に関していうと、まだまだアジアなどで拡大する可能性が高いと考えています。 ――ちなみに新規参入を公言した旧車のレストア事業も面白い。それも単なるレストアではなく現代流にアップデートを行なうレストモッド(「レストア」と「モディファイ」を組み合わせた造語。旧車に現代の技術をブチ込み、新しい解釈のクルマにする意味)なのがトムスらしい。 谷本 想定を上回る反響の大きさに驚いています。 ――東京オートサロンには、レストモッドされたスープラ(80系)が展示されていましたが、旧車のレストア事業はスープラのみですか?谷本 まずはセリカ、レビン・トレノ、ソアラ、MR2など、スポーツ系モデルが中心になると思います。 ――アルファードのEVプラスの話も、旧車レストア事業の話も、「今あるものを大事に使おう」というトムスの志を強く感じました。 谷本 日本にはモノを大切にする文化がある。そこにトムス流のやり方で、ひと味足すという感じですかね。 撮影/山本シンヤ 宮下豊史 写真提供/オートバックス トムス