負けて知る監督のすごさ 好救援の沖縄尚学・東恩納蒼 センバツ
第95回記念選抜高校野球大会は第9日の28日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で3回戦があり、九州王者の沖縄尚学は、東京王者の東海大菅生(東京)に0-1で敗れた。9年ぶりのベスト8進出はならなかった。 【しびれる投手戦…東海大菅生vs沖縄尚学】 ◇ 0―1の八回2死三塁。東海大菅生の1番・沼沢梁成を迎えて、沖縄尚学の右腕・東恩納(ひがしおんな)蒼は「あまりない」と言う帽子を飛ばすほどの全力投球を試みた。 「いい打者なので、球威で押した方が相手は嫌と思った」。この日最速の143キロをマークするなど伸びのある直球を中心に攻めたが、結果は四球。しかし、続く2番打者を真っすぐで中飛に仕留め、味方の援護を待った。 1回戦から2試合連続完投していた影響を考慮され、中2日での3回戦は救援に回った。マウンドに上がったのは五回からだ。「疲れは多少あったが、イニングが短い分、全力投球ができた」。腕を思い切り振ると直球のコントロールも良く、4イニングをわずか1安打に抑えた。 昨秋の九州大会では変化球で逃げる投球が目立ち、比嘉公也監督に苦言を呈された。冬場は「真っすぐの出力を上げることを意識した」。筋力トレーニングや遠投に取り組み、自信が持てるストレートを求めた。 「初戦から(今日のような投球を)やれ」と声をかけてくれた比嘉監督にも改めて感心した。「甲子園で一勝一勝していく難しさを知った。しっかり勝っていったのはすごい」。比嘉監督は沖縄尚学が1999年センバツで沖縄県勢初優勝を果たした際、エースとして活躍した。同じ成績は残せなかったが、比嘉監督の偉大さを知る甲子園のマウンドにもなった。【藤田健志】