【都市対抗】格段に威力が上がった直球 黒獅子旗とNPB入りを狙うNTT西日本・伊原陵人
5回1失点で初戦突破に貢献
【第95回都市対抗野球大会】 7月22日 東京ドーム ▽1回戦 NTT西日本14-1三菱自動車岡崎 (7回コールド) 【選手データ】伊原陵人 プロフィール・寸評 第95回都市対抗野球大会4日目。第2試合にはNTT西日本(大阪市)のエースでプロ注目の左腕・伊原陵人(大商大)が先発。昨年の都市対抗でベスト8へ進出した三菱自動車岡崎(岡崎市)との1回戦に臨んだ。 「都市対抗の1戦目で先発に指名されるのは光栄なこと。『先発としてやるべきことをやればいい』と思ってマウンドに上がりました」と伊原。初回、先頭打者から空振り三振を奪うと後続の打者も打ち取って、3者凡退の立ち上がり。その後も常に140キロ中盤から後半を記録したストレートに加え、カットボール、カーブ、スライダー、ツーシーム、フォークと多彩な変化球を操り、快調なピッチングを披露した。 4回表に1点を失ったものの、なおも一死一塁の場面では力強さを増したストレートをアウトローに投げ込みショートゴロで併殺。5回表は満塁のピンチを迎えたが、最後は147キロの速球でファーストへのファウルフライに打ち取り、5回1失点。4奪三振と先発の役割を果たして交代となった。 「最初から飛ばしていこうと思っていましたが、それが良かった。点差があったので楽に投げられましたが、3回からはリズムが良くなかったので反省して次に生かしたいです」 チームは序盤から猛攻を仕掛け、2回裏に8安打を集中して一挙9点を奪うなど12安打で14得点。14対1の7回コールドで2回戦へ勝ち上がっている。
ウエートに励んでレベルアップ
昨年までは技巧派の左腕と評価されることも多かった伊原。本人も「もともとはコントロールが持ち味」と話すが、この冬はウエート・トレーニングに励んだことで体つきが変わった。 「全身を鍛えたのですが、体重は5キロ増えて72キロから77キロになりました。実は昨年も77キロになったことはあったのですが、その時は体が重たく感じていたんです。でも、今は筋肉が付いて体重が増えたので良い感じで体が動いています」 その効果は真っすぐに表れ、威力が格段に上がった。「昨年まではストレートで空振りやファウルが取れなかったのですが、今年は取れるようになったので自信を持って投げられています」。河本泰浩監督(駒大)も「伊原は賢い選手で自分のことがよく分かっている。オフシーズンにウエート・トレーニングに重点を置いて取り組んだのもその一つで、投げるボールが強くなりました」と評している。 都市対抗の近畿地区二次予選では「140キロ中盤だった球速が急に上がりました」(伊原)と最速149キロまでアップ。この大会では先発、救援の両面で4試合に登板し3勝。20回1/3を投げて、イニングを上回る27奪三振と成長した姿を見せた。 「ストレートが良くなったことで変化球も生きてきて投球の幅が広がっていますし、良い相乗効果が得られています」 また、特筆すべきはアベレージの球速が安定していること。三菱自動車岡崎との1回戦でのストレートはすべて144キロから148キロで、アベレージが上がった。 大学時代はプロ志望届を提出したものの、指名漏れ。社会人2年目の今年はプロ解禁となるが「自分の進路より、チームが勝たないと。都市対抗で優勝して、プロへ行けたら、それが一番いい」と話している。黒獅子旗とNPB入り、双方を貪欲に狙っていく。 文=大平明
週刊ベースボール