HOMEが語る、今を生きるバンドが考える「モダンポップス」
効果的な「歌」と「メロディ」とは
―seigetsuさんの歌や声質に関しては、どんな表現ができるものであると捉えていますか? モダンなサウンド感にseigetsuさんの歌声が乗ることで、ただ平坦なモダン感には収まりきらないのがHOMEのよさになっているんじゃないかと思うんです。 seigetsu:たとえば「Plastic Romance」は、よりモダンなポップスということで、ボーカルで聴かせた方がいいなと感じながらレックしてました。俺、あんまり目立ちたくないんですけど、これはボーカルで持っていく歌だなって感じて、前に出た方がいいなと思って。 shun:主役を引き受けるようになったよね。 seigetsu:……あんまりやりたくない。フロントマンには向いてない……。 shun:(笑)。そんな~! ―(笑)。shunさん、o-pngさんは、seigetsuさんの歌にどんな印象を持っているんですか。 shun:seigetsuはR&B、ジャズとかブラックミュージックも聴き込んでいて、初めてseigetsuの歌声を生で聴いたときから思っていることは、いわゆるカラオケ的なうまさというよりかは、曲の中でどう響くかということをすごく考え抜かれた歌だということで。『EP2』は、オートチューンの導入もありつつ、そもそもメロディに対してどう歌詞をはめるかが、リズム的な部分においても、かなり進化した作品だと思います。その中で、彼の言語感覚もまた面白くなっていたり、日本語、英語、韓国語まで混ざった歌詞があったり。「木目」の“木目はアトランダム~”の音ハメなんかは、「ようやるな」って感じ。ポップなんだけど、彼にしかできない領域のことをやっているなと思います。 o-png:seigetsuは裏声を入れるタイミングがめっちゃ面白いなと思います。ポップに裏声が入ってるから面白いですね。歌が覚えやすい感じで裏声を入れるけど、技術っぽくもある、そのバランスがいいなと思います。もともと僕はメロディのあるものがあまり好きじゃなくて、でもHOMEを通して好きになってる感じがあって。 shun:Skrillex生まれ、Suchmos育ちだもんな。 o-png:ギターでコードをジャカジャカ弾いて歌うような、フォークっぽいものとかが苦手なんですよ。今のUKポストパンクの人たちも結構好きで、それも理由はメロディがないから(笑)。だからHOMEは僕みたいな人にも刺さるかもしれないですね。普段はポップスを聴かなくて、ダンスミュージックとかを聴く、みたいな人たちも聴けるんじゃないかなと思います。 shun:邦ロック的なジャカジャカとしたバッキングを意図的に入れないようにしているから、それもデカいかも。それはHOMEにおけるマイルールのひとつだったりします。 o-png:助かるわ(笑)。 ―苦手だから(笑)。でもそれは重要なポイントですね。ポップスに寄りすぎず、ポップスである、という線で新しい音楽を作ろうとしているのがHOMEである。 shun:俺、こいつと会ったのが高1なんですけど、軽音部の部室でギターを弾いてたら「6弦全部鳴らしてるのダサくね?」って言ってきて。それが俺の人生においてすげえ示唆を持った言葉になって。もっと少ない要素で成立させられるのであればその方がいいっていうのは、ある種のミニマリズムに基づいた考え方だと思うんです。それ以来、僕のギターに対する捉え方、弾き方が変わって、それがそのままHOMEに活かされていて、よりデザインするような感覚でギターを弾くようになった気がします。 o-png:確かに、その感覚があって今のHOMEの音楽性がある感じはしますね。