前半2発で流れを引き寄せた青森山田セカンドが終盤怒濤の反撃見せた仙台ユースを下し、3連覇達成!
[11.23 プリンスリーグ東北第18節 仙台ユース 1-3 青森山田セカンド マイナビベガルタ仙台泉パークタウンサッカー場] 【写真】「全然違う」「びびるくらいに…」久保建英の9年前と現在の比較写真に反響 高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ2024東北は11月23日、最終節を迎えた。既にベガルタ仙台ユースと聖和学園高のプレミアリーグプレーオフ出場が決まっていたが、優勝争いの行方が最終節に持ち込まれていた。第17節終了時点で仙台ユースが勝点40で首位に立ち、2位・青森山田高セカンドが勝点38で追走。最終節は両チームの直接対決となり、仙台ユースは勝つか引き分けで、青森山田セカンドは勝てば優勝が決まるというシチュエーションだった。 マイナビベガルタ仙台泉パークタウンサッカー場に多くの観客を集めて行われた緊張感ある試合だったが、最初にペースをつかんだのは青森山田セカンドだった。勢いのある縦突破と前線のパワーを生かした攻撃で仙台ユース陣内に攻め入る。 そして、前半11分、ドリブルでペナルティエリアに侵入したMF藤田比呂(3年)が倒されてPKを獲得する。前半13分、これをMF西尾啓汰(3年)が落ち着いてPKを決めて青森山田セカンドが先制する。さらに勢いに乗った青森山田セカンドは前半16分、藤田のクロスをニアサイドでFW大森暖(3年)がヘディングシュートで合わせて2点目。序盤で試合の流れを大きく引き寄せた。 2点ビハインドとなった仙台ユースは反撃に転じたかったが、青森山田セカンドの守備ブロックをなかなか崩せない。前半34分、左サイドバックのDF古川柊斗(2年)と、アディショナルタイムにDF一色竜二(3年)の放ったシュート2本に抑えられ、前半は青森山田セカンドの2点リードで終えた。 後半頭から仙台ユースはFWピドゥ大樹(2年)に代えて、パワフルなドリブル突破と強引なシュートが持ち味のFW古屋歩夢(2年)を投入し、反撃を試みたが、次の1点が入ったのは青森山田セカンドだった。後半3分、藤田のクロスを仙台ユースGK室井陸杜(3年)がキャッチしようとしたがこぼしてしまい、こぼれ球をこの日FWに入った青森山田セカンドMF小山田蓮(2年)にゴールに押し込まれ、リードが3点に広がった。 あと3点取らなければ優勝は無い仙台ユースはここから猛攻を仕掛け、前述の古屋に加え、途中出場のMF稲木康太(2年)の力強いドリブル突破から決定機をつくるが、青森山田セカンドGK磯村颯(3年)がファインセーブを再三見せ、ゴールを割らせない。それでも後半24分、MF齋藤俊輔(3年)のパスを受けたMF浅尾涼太朗(2年)がクロス。これを古屋が豪快にゴールに押し込み、2点差とする。 なおも攻めた仙台ユースだったが、青森山田セカンドはキャプテンMF津田楓真(3年)を中心に全員が体を張った守備を見せ、ゴールを割らせない。このまま3-1で青森山田セカンドが勝利し、逆転優勝で3連覇を達成した。 なお、大会MVPには先制ゴールを挙げた青森山田セカンド西尾が選出された。西尾は「1年間全員が戦ってくれた結果で、自分がたまたまMVPに選ばれたので、全員に感謝したい」とチームメイトに感謝の思いを語った。 青森山田セカンドを率いた中村祥旗コーチは「選手がモチベーション高く、意欲を持ち続けてやってくれたので、選手に感謝したいです」と語った。序盤の猛攻での2得点については「立ち上がりは自分たちが大事にしている部分なので、トップにならってゲームをつくっていこうとしました」とうまくペースをつかめて得点を取れたことを喜んだ。後半3点リードしてからは押し込まれる場面もあったが、キャプテンの津田は「自分たちが足が止まるのは分かっていたので、どう踏ん張るかでした。攻め込まれて1(失点)入ったのは良くなかったですが、1で抑えられたとも言えます。自分の持ち味は走る、守備に強く行くところなので、コーチから信頼されて意識してやれました」と自らの持ち味を生かしながら、最少失点に抑えられたことを喜んだ。 今後選手たちは選手権のメンバー入りを目指すこととなるが、プレミアリーグ組もいるので狭き門となる。中村コーチは「最後までチームを支えて、手助けしてあげてほしい」と語り、津田は「全員は(選手権のチームに)入れないので、ライバル心を持ちながら競っていきたいです。サッカーに情熱を注いで貢献していきたい」と意気込みを語った。 一方、プレミアリーグプレーオフにプリンスリーグ東北優勝で出場することを目標としていた仙台ユースだったが、入りで相手の攻勢を受けてしまい、終盤の反撃も1点にとどまり、プレーオフに向けて課題の残る内容となった。8月から木谷公亮前監督(現・サガン鳥栖監督)からチームを引き継いだ安川洋介監督が「思いのほか硬くなってしまいました。一人一人ボールが足につかず、ボールを落ち着かせる選手が慌てて蹴ってしまったので、自分たちのサッカーをやらせてあげたかったです」と語る通り、本来のビルドアップを特に前半見せられなかった。キャプテンでトップ昇格内定のMF横山颯大(3年)も「焦れずにやろうと話していたんですけど、(プレッシャーに)呑み込まれたという感じですね」と相手の物理的なプレスと、勝たなければならないという心理的なプレッシャーに打ち勝てなかったことを悔やんだ。 それでもこの悔しさを糧として、2週間後プレミアリーグプレーオフに挑む。横山は「プリンスリーグ優勝、プレミアリーグ参入という目標を今年掲げていて、プリンスリーグ優勝という目標は達成できませんでしたが、まだあと2試合このチームでできる試合があるので、何としてでも2試合勝ってプレミアリーグに参入したいと思います」と、意気込みを語った。丁寧なビルドアップから迫力のある攻撃につなげる本来のスタイルを取り戻し、チーム一丸となれるかどうかが、プレーオフ突破の鍵となる。 (取材・文 小林健志)