人口減で先細りする東北市場でAGFの支社が「ブレンディ」ポーションで挑む前例のない取り組みとは?
東北支社北東北営業所の野呂貞倫氏は「北東北はこれまで、毎年お盆が明けると冷え込むためポーションの取り扱いが難しい小売店も多かったが、今回はコンセプトに共感していただき、初めてポーションのお取り扱いが決まった事例も生まれた」と述べる。 小売店の売上拡大にも貢献している。 杉谷氏は「ポーションは比較的単価が高いため、販売点数が少ない場合も売り上げを維持しやすい。単価アップにつながるものとしても提案している」という。 生産効率との兼ね合いから、支社発案のエリア限定商品はAGF全体としてもチャレンジであった。 第2弾以降の展開は、アップルミルクティーベースの実績次第となる。 成功裏に終わった場合、タスクチームは今後、現在発売中のポーションの更なる改良と、新たな商品開発を行う2つのグループに分かれて活動する。 改良では、浮上した課題の解決に着手する。発売後、プロモーションの一環で大学生への試飲・サンプリングを実施した際のアンケートの中で頂いた意見や、今後の売れ行きを踏まえ、来年春の再販売を目指し商品に磨きをかける。 今後の商品開発については、共創による次世代のユーザーの取り込みも視野に入れる。 その一環で、今回、アップルミルクティーベースの試飲会を通じて接点を持つことができた東北エリアの大学をはじめとする教育機関との関係を構築していく。 小川氏は「一次産業の応援と、将来的な共同開発の観点から、農学系の教育機関・学生とのつながりを持ちたい」との考えを明らかにする。 杉谷氏も「社会貢献活動は、特に大学生が興味を持たれることであり今後の商品の共創にあたり大学へのアプローチは有効」とみている。 試飲会を実施した大学では、味の評価や購買意欲についてのアンケートを実施し忌憚のない意見が寄せられたという。 野呂氏は「多様な意見を知る場であるとともに、若い世代へのアプローチ、ファン作りの側面もある。今後、共創商品が市場に出回れば、学生層に留まらずそのご家族や知人からも支持されうる」と期待を寄せる。 一方、学生にとっても学びの場になったという。 「教授からは“民間企業で働いている社会人との交流は学生にとって貴重な経験となる”とのコメントが寄せられ、当社に対しても興味関心を示していただいた。このことによって社員のモチベーションも向上している」と述べる。 小川氏は「これからも定期的なお付き合いをさせていただくことになり、ゆくゆくは大学生が考案した商品の共同開発や学食のメニューに共同開発の飲み物を置いていただきたい」との青写真を描く。 東北支社の挑戦は続く。小川氏は「今は大学や自治体など、いろいろなところを回っている。可能な限り、新しい需要をみんなで掘り起こしていく」と意欲をのぞかせる。