親から相続を受けるときには自分も高齢者です。「老老相続」になるとどんな問題が起こりますか?
厚生労働省によると、日本人の亡くなる人の数は2022年に年間150万人を超えました。今後も、2040年ごろまで増加する見込みだといいます。また、高齢化が進み、人生100年時代といわれる時代。高齢者が亡くなったときに、その相続人となる人も高齢者という、いわゆる「老老相続」のケースが増えています。 人が亡くなると、遺された人たちにはいろいろと労力もかかります。高齢者が亡くなり、その相続人も高齢の場合、さまざまな問題が発生することがあります。どのような問題が起こり得るか、どのような対策があるかを考えます。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
高齢者の相続で問題になる例
高齢者が亡くなったときに問題となることとして、以下の4点が挙げられます。 (1)手間がかかる手続きを進める体力・能力がない (2)相続人のなかに認知症などの方がいると、話し合いができない (3)相続人が故人の財産を把握していない、預金通帳などの保管場所が分からない (4)数次相続(あまり間を置かずに次の相続が発生する)の可能性が大きい 一般的な相続でも必要な該当することは多いのですが、相続人も高齢の場合、さらに上記のようなリスクが高まるといえます。以下で、具体的に見ていきましょう。
(1)手間がかかる手続きを進める体力・能力がない
人が亡くなると、さまざまな手続きが必要になります。 まず、「死亡診断書」「死亡届」の作成と提出、葬儀の手配などがあります。「死亡診断書」と「死亡届」は1枚の用紙になっており、死亡診断書は医師に記入してもらいます。死亡届の提出は死後7日以内ですが、死亡届を提出しないと「火葬許可証」が発行されないため、速やかに提出する必要があります。 通常は同居していた親族が提出しますが、同居親族がいなければ同居していない親族、それも難しい場合は、関係者が提出します(詳しくは役所等でご確認ください)。その他にも入院されていた場合には、医療機関への支払いをします。また、公共料金などの支払いや年金の受給停止などの手続きも必要です。 葬儀が終わっても、なかなか落ち着かないでしょう。四十九日が終わることで、やっと一段落という感じかもしれません。しかし、相続の手続きはここからが大変です。 戸籍の収集や相続財産の把握をし、遺産分割協議を行って、遺産分割協議書を作成、相続税がかかる場合には申告・納付をしなければなりません。遺された方が高齢者だと、こうした手続きを進めるのもかなりの負担になり、相続手続きをスムーズに進められないリスクが高くなります。