人口減で先細りする東北市場でAGFの支社が「ブレンディ」ポーションで挑む前例のない取り組みとは?
東北エリアの生活者について知るため、外部データを引きながら東北エリアの特性を抽出。その結果、東北エリアは農業や畜産業といった一次産業が盛んである反面、牛乳の消費量が少ないことが判明した。 総務省統計局が発表した2022年の家計調査によると、中でも秋田県は牛乳の消費量が際立って少ないことが浮き彫りとなった。 このような分析を踏まえ、新商品は東北全県で栽培しており、代表的な特産品である「リンゴ」の東北産果汁を使用することで一次産業を応援し、牛乳で割って飲む商品という地産地消と牛乳の消費応援の方向が定まった。これまでのコーヒーカテゴリではなく、新カテゴリでの展開を本社に要望した。 ――原料に東北エリアで生産されている果汁を使用 ――牛乳の消費を促進するため牛乳割りで飲む商品にする このようなアップルミルクティーベースの原案をもとに、本社の開発部門と打ち合わせを重ねる。東北支社内では社員が一丸となり試作品の試飲も“全員野球”で取り組んだ。
販促施策は、東北支社が考案。 昨年10月に、販促のためのタスクチームを結成。 プロモーション活動に関するアイデアを出し合い、地方TV番組への出演や牛乳パックの側面への広告展開、インバウンド向けに日本語・英語でのオリジナルPOPの作成、フリーペーパーへの掲載、大学生への試飲・サンプリングなどを立案し実行に移した。 商談では、原材料と牛乳消費促進という2つの点でエリアに寄り添った商品であることをアピールして高評価を得る。 杉谷氏は「東北産・東北エリア中心に販売という言葉がバイヤーの琴線に触れたようだ。中でも地産地消というこだわりが一番響き、一次産業の応援や牛乳消費量の課題解決といったコンセプトに共感していただけた」と振り返る。 企画の発案から販促まで、支社が一体となって熱意をもって行ったことで、副次的効果として「ブレンディ」ポーションシリーズ定番品の新規採用にもつながる。 杉谷氏は「実は、これまで東北エリアでは、ポーションは配荷率に課題があったが、今回の提案で小規模なお店でもお取り扱いしていただき、競合品よりも優先していただけたところもあった」との手応えを得る。