スコットランドにミスで完敗した日本の問題点
試合を決定づけたのは、後半23分のスコアか。攻め込んで、攻め込んで、攻め込んだ先の敵陣22メートル線付近で、日本代表センター田村優のパスをスコットランド代表ウイングのトミー・シーモアにインターセプトされた。そのまま駆け抜ける。大会2勝目を挙げるジャパンにとっては、残り17分の場面で手痛い失点を食らった格好だ。コンバージョンも決まり、10―31。その後もスコットランドのスコアは重なった。 4年に1度、強豪国が集うラグビーワールドカップ(RWC)。19日の初戦で過去2回の優勝を誇る南アフリカ代表から大会24年ぶりの白星(34-32・ブライトンコミュニティースタジアム)を奪った日本代表は、23日、欧州6強の一角であるスコットランド代表に10-45で敗れた(グロスター・キングスホルムスタジアム)。 戦前から「先手を取る。ファーストプレーでしっかりと」と口々に語っていた日本代表は、前半こそクロスゲームを演じた。特に、ハーフタイム終了直前には自陣ゴール前で貼り付けにされながら、初戦で示したロータックルとその後の素早い起き上がりで抗う。最後は大外の仕留め役をフルバック五郎丸歩副将が外へ出し、7―12でロッカールームへ戻った。終盤の走り合いにも自信を持つエディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)は、「前半が終わった頃は勝てるかと思っていた」と振り返った。 しかし、このクロスゲームだった前半から、わずかなひずみは覗かせていた。 例えば前半2分にスクラムハーフのグレッグ・レイドローに先制ペナルティーゴールを決められた場面。相手のラインアウトからのモールを「わざと崩した」とされたコラプシングの反則が失点の直接的要因だが、その直前、ジャパンは敵陣でターンオーバー(攻守逆転)された直後にその背後へ大きくキックを蹴られていた。あわてて戻ったウイング松島幸太朗がタッチラインの外に出た後に、当該のラインアウトがあった。 5点ビハインドを追っていた26分ごろにはラインアウトモールからの球出しの際にノックオン(ボールを前に落とす反則)を犯し、続く29分には精密機械のフルバック五郎丸歩がペナルティーゴールを外す。前半36分ごろには、敵陣ゴール前中央の密集近辺でのチャンスロスがあった。 裏を返せば、気張って接戦を演じた日本代表を向こうに、スコットランド代表が余裕のあるプレー選択をしていたようだった。「プレーヤーは落ち着いていていた」とは、勝者のヴァーン・コッターHC。後半7分にはジャパンの粘っこい守備を向こうに焦らずボールキープし、フランカーのジョン・ハーディーがトライ。10―12のスコアを10―17とした。その直前には、鋭く前に出る日本代表のディフェンスシステムの死角へ、鋭角にランナーを走らせていたものだ。続く15分には、同じく「死角への鋭角」をきっかけにセンター、マーク・ベネットなどが追加点を決めた。24―10。ジャパンが好機を逃した場面も、スコットランド代表とすれば「ディフェンスを頑固にできた」結果だと指揮官は見る。一方、黒星を喫したジョーンズも、「スコットランド代表は素晴らしい出来だった」と繰り返していた。 勝負は紙一重だ。概ね攻守で自分たちのスタイルを貫いていた感のあるジャパンだが、時間を追うごとにひずみを大きくさせてしまう。それがスコットランド代表の躍動と残酷なほどに合致した。