スコットランドにミスで完敗した日本の問題点
南アフリカ代表戦ではフルバック五郎丸副将のペナルティーゴールや劇的なトライで終わっていた連続攻撃も、この日は落球、そして後半23分に見られた事故のような失点に繋がった。 ミスが起こった要因は。スタンドオフ立川理道は「理由はひとつに絞れない」としながら、試合の状況を1つひとつ振り返った。 「シェイプ(チームの攻撃陣形)を作れなかったところもありますし、連携が取れずにオブストラクション(球を持った人が前にいる味方とぶつかる反則)になることもありました。現時点で分かっているのはそういうこと。修正していきたい」 フランカーのリーチ マイケル主将はこうだ。 「ただただ、判断がよくなかった。パスしなくてもよかったのに、パスをしてしまう場面もあった」 突破役のセンター、マレ・サウは、 「我慢が足らなかったですね。皆、必死で、空回りしていた」 中3日でゲームがあったという過密日程下の疲労については「言い訳にならない」「関係ない」が定型句だ。この日のジャパン陣営からもその言葉が連なった。しかし実相は、当人の腹のうちにしかない。事実として挙げられるのは、初戦にフル出場したロックのトンプソン ルークがこの日も密集での球出しを遅らせてピンチを防いだこと。その一方で、相手のスクラムハーフのレイドロー主将が「後半のジャパンには疲労が見えた」と感じたことだ。それ以上でもそれ以下でもない。 南半球最高峰のスーパーラグビーで日本人第1号となったスクラムハーフ田中史朗は、普段通り、正直に話した。 「(中3日の)影響…。ないとは言い切れないですけど、それは言い訳になってしまうので。(ミスが起こった一番大きな理由は)コミュニケーションが少なくなったということ。疲れてきても、しっかりと話ができれば。インターセプトされたところも(グラウンドの)外から『(パスをせずに)ボールキープしろ』とコミュニケーションを取っていれば起こらないことだった」 次戦までの間隔は、9日間ある。10月3日、ミルトンキーンズのスタジアムmkで環太平洋の強豪であるサモア代表とぶつかる。南アフリカ代表と似て、まっすぐぶつかるプレーを好む巨躯揃いだ。次戦に向け、方向性こそ間違っていないチーム(辛口の田中も「いい状態。次に向かって行こうと話している」と断言)は、どんな改善を施すか。 フランカーのリーチ主将は言う。 「身体と頭をしっかり休ませて、相手をしっかり分析していきます」 一戦必勝を旨とするロックのトンプソンはこうだ。 「まだ、考えてない! ただ、ディテールの部分を詰めて、もっとインテンシティを高めていく」 付け加えれば、ここまでの2戦を踏まえてのメンバーリングの再調整も必要か。スクラムハーフ田中が、「外側からのコミュニケーションを…」と語っていたが、その領域を長所とするウイング山田章仁は今後に向け徐々に体調を調整中。具体的には、先発した南アフリカ代表戦(鋭利なキックと絶妙な位置取り!)の翌日の海でのリカバリー中に魚に刺された箇所が、快方へと向かっている。 すべきことの大半を機能させて、一枚岩ではない南半球の強豪を下したのもRWCの現実。そこにひずみが生じれば、満額回答の欧州の雄に屈するのもRWCの現実だった。 それでもジャパンは引き続き、8強入りを狙う。 (文責・向風見也/ラグビーライター)