金田喜稔がバーレーン戦を斬る!「伊東と三笘はアジアでも抜けた存在。今後は本大会も意識した戦い方を」
先制点で選手たちが楽になった
[W杯最終予選]日本 5-0 バーレーン/9月10日/バーレーン・ナショナル・スタジアム 【画像】日本代表のバーレーン戦出場16選手&監督の採点・寸評を一挙紹介。4人が7点の高評価。MOMは2G1Aの9番 北中米ワールドカップ・アジア最終予選の第2節で、日本は敵地でバーレーンと対戦し、5-0で圧勝した。 前半は日本が支配していたけど、それでもアウェーというのを考えて慎重にゲームに入ったなという印象だった。 7-0と大勝した前回の中国戦と同様に3-4-2-1の布陣で、両ウイングバックは堂安と三笘を起用した。この2人を使って攻めたいという戦略があったんだろうけど、サイドの裏を狙ってロングボールを入れられたら日本もピンチになるかなと懸念していた。でも、そこは堂安も三笘もしっかりと対応できていたね。 このシステムだと、両ウイングバックが攻守で長い距離を走らないといけない。そのなかで特に攻撃面で彼らをサポートしていたのが、シャドーに入った鎌田と南野だ。相手の背後を狙う2人の動き出しが素晴らしかった。 パスの出し手と受け手のタイミングが合えばチャンスになっていたし、37分の鎌田が右サイドを抜け出してクロスを送り、相手のハンドを誘ってPKを獲得したシーンなど、狙い通りの動きを見せていた。 そのPKを上田がしっかりと決めて先制点を奪えた。前半はアウェーの環境で慎重になっていたけど、これで選手たちが解放されたというか楽になったと思うね。
伊東が試合を変えてくれた
そして堂安に代わって伊東が入った後半は、47分に右サイドで鎌田のパスを伊東がダイレクトで折り返して、上田が右足を振り抜いてゴールを奪った。この2点目で相手は気持ちが切れたよね。 右の伊東と左の三笘は、アジアのなかでも抜けた存在だなと思ったよ。バーレーンは、強力な日本の両サイドに対して、1対1だと簡単にやられるから2人で見ないといけない。それで防げたとしても攻撃に人が足らず、日本にプレッシャーをかけられてボールを奪われてしまうという繰り返しになる。 2点目のアシストもそうだし、縦への突破や中央に切り返してのキープなども含めて、伊東が試合を変えてくれた。彼のプレーでチーム全体として先手が取れたから、後半の4ゴールにつながった。 三笘に代わって途中出場した中村も中国戦では出番がなかったし、試合に出たら何かやってやろうという気持ちが見られた。 81分に中村が左サイドを突破してシュートを放ち、敵GKが弾いて、そのこぼれ球を小川が詰めて日本の5点目が生まれた。いつも仕掛けたら絶対にシュートかクロスまでいくのは、凄いと思う。南野に代わってシャドーに入った久保も含めて、この攻撃陣は相手からしたら本当に厄介だよ。 10月のサウジアラビア戦やオーストラリア戦がどうなるかは分からないけど、今大会からW杯の出場枠が「8.5」に増えて、最終予選で2連勝を飾った日本が出場を逃すことは、ほぼ考えられない。なので、これからは本大会を意識した戦い方をしてほしい。 分析されるのも考慮して、今後は4バックと併用して戦うことも必要だ。また、2年後まで選手たちが今のパフォーマンスを維持できるとは限らない。特に層が薄いボランチには、パリ五輪でキャプテンを務めた藤田などを早めに呼んで使ってほしい。 もちろん、目の前の試合には勝たなきゃいけないけど、同時に選手を入れ替えたり若手を試したりして、可能性のある選手にチャンスを与える作業も必要になってくる。これからも森保ジャパンに楽しませてほしいし、楽しませてくれると信じているよ。 【著者プロフィール】 金田喜稔(かねだ・のぶとし)/1958年2月16日生まれ、65歳。広島県出身。現役時代はドリブルの名手として知られ、中央大在学中の1977年6月の韓国戦で日本代表デビューを飾り、代表初ゴールも記録。『19歳119日』で記録したこのゴールは、現在もなお破られていない歴代最年少得点である。その後は日産自動車(現・横浜)でプレーし、1991年に現役を引退。Jリーグ開幕以降はサッカーコメンテーター、解説者として活躍している。
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