東京五輪では精神的に激しく落ち込み棄権も… 体操の世界女王、実は大けがをしていた「走り出してすぐに激痛。何かがおかしいと感じた」
ネットフリックスのドキュメンタリー『シモーネ・バイルズ 限りなき高みへ』のパート2は、パリ五輪以降の舞台裏に焦点を当てている。でも、この作品は、予選でシモーネを苦しませた“ふくらはぎのケガ”についても触れており、このケガが当時の彼女の説明よりもはるかに深刻だったことを明らかにした。 【写真】ほっこり!体操選手 シモーネ・バイルズと夫のジョナサン・オーウェンズの姿 パリ五輪で4つのメダルを獲得した27歳のシモーネは、このケガで再び欠場しなければならないことを恐れていたそう(東京五輪では“ツイスティーズ”というメンタルブロックに見舞われて、複数の種目を棄権している)。 それにしても、このケガは一体どのようなケガだったのか? そして、シモーネの現在の状態は? アメリカ版ウィメンズヘルスから見ていこう。 ※この記事はアメリカ版ウィメンズへルスからの翻訳をもとに、日本版ウィメンズヘルスが編集して掲載しています。
2024年のパリ五輪でシモーネ・バイルズが残した成績
シモーネのパリ五輪での活躍は、基本的に東京五輪のリベンジだった。 今回の成績は金メダル3つ(団体、個人総合、跳馬)と銀メダル1つ(ゆか)。これまでの獲得メダル数は、金7つ、銀2つ、銅2つとなっている。
ふくらはぎのケガについて
シモーネのふくらはぎには『シモーネ・バイルズ 限りなき高みへ』の公開前からテーピングが巻かれていた。また、パリ五輪の閉会式では、サポーターを付けて歩く様子も報道されている。当時、彼女のチームは大したことじゃないと言っていたけれど、このドキュメンタリーを見る限り、実際は大ごとだった。 体操女子の予選初日、シモーネはトリプルダブル(別名:バイルズII)に挑戦したものの、走り出してすぐに脚に痛みを感じたそう。 「あのときは『これはまずい。すごく痛い。何かおかしい』と思いました。ふくらはぎの筋肉に変な感覚があったんです」と同ドキュメンタリーの中で語ったシモーネ。「あのようなことが起こるたびに、大きな恐怖を感じます。ケガは、いつ誰に起きてもおかしくありません」 シモーネは、足首とふくらはぎをつなぐアキレス腱の断裂を疑って不安を感じた。「あのときは本当にイライラしました。あれほどイライラしたことはないと思います。ゆかを去りながら、『また辞めると思われる』と思いました」 このドキュメンタリーでは、元チームメイトのアリー・レイズマンもシモーネの苦しみを吐露している。「パリ五輪のあと、彼女が私に言ったことは一生忘れないと思います。胸が張り裂けそうでした。『そんな痛みを抱えながら、どうやって?』と私が聞いたら、彼女は『また腰抜けだと言われるわけにはいかなかった』と言ったんです」 コーチのセシル・ランディによると、最終的にシモーネは「肉離れ/筋断裂」と診断された。そのため、彼女はストレッチをして、ふくらはぎにコンプレッションスリーブを着用した状態で競技に出ていた。 シモーネは「体操選手にしては高齢」なので、ケガをするのも「時間の問題」と冗談めかした一方で、パリ五輪に向けた準備の過程では、ヒザの過伸展を含む他のケガをしていたことも明かした。 「普段は普通に歩けますし、何でもできますが、跳ねたり走り出したりするときは必ず、ふくらはぎに痛みを感じます」とシモーネ。「でも、やることが多すぎて、そのことばかり考えてはいられません」 そんな中、セラピーを継続的に受けたのは良かったと彼女は語る。「身体的には耐えられると分かっていました。私が心配していたのは精神的に最後まで耐えられるかです」 同ドキュメンタリーの中ではカメラマンにテキサス州の新居を案内し、引退に対する考え方についても軽く触れた。 でも、シモーネにとって今回のオリンピックは本当に満足のいくものだった。「1つひとつの瞬間を本当に楽しもうとしていました。みんなで1日1日を大切に過ごせたことに感謝しています」