中国産金属シリコン価格、汎用品中心にジリ安。需給緩和・4月比80ドル安
中国産金属シリコン価格は、汎用品を中心にジリ安で推移している。アルミ合金や太陽光発電関連需要が伸び悩む中で、生産が順調に増加しているため需給が緩和。不良在庫も増加傾向にあるため、対日価格は4月に比べて3303や汎用品種で70~80ドルの下落となった。 足元の輸出向け価格(FOB)は、「2202」がトン当たり2500~2600ドル(4月上旬比横ばい)、「3303」が1950~2千ドル(同70ドル安)、「441」が1880~1920ドル(同80ドル安)、「553」が1800~1850ドル(同80ドル安)。品位の高い2202は横ばいを保ったが、3303以下の品位は下落となった。 シリコン価格をめぐっては、需給の緩和による相場下落が指摘されている。中国全土の1~5月生産量は昨年を上回る年430万トンペース。一方で需要は成長が期待されていた太陽光発電向けポリシリコンが伸び悩んでいるようで「ポリシリコンの仕掛かり在庫は25万トン以上あるといい、シリコンウエハーメーカーの減産によって需要はさらに落ち込んでいる」(タックトレーディングの上島隆会長)という。 また有機シリコン業界も需要が3%程度減少しているほか、自動車用アルミ需要も低調なため「シリコン需要は当初見込んでいた年410万トンには届かず、380万トンが精いっぱいではないか」(同)と指摘。昨年40万トン程度あるとされていた不良在庫も「生産者在庫が10万~15万トン、先物市場の在庫が28万トン、ブローカーの港湾在庫が10万トン、ポリシリコンの不良在庫が20万~25万トンという見方が正しければ、現在65万~75万トンの不良在庫が蓄積されている可能性がある」(同)とする。 こうした需給の緩和を受けて、上島会長は「6~7月もジリ安が継続する可能性が高い」と予測した。ただ、「環境設備導入や電力代の優遇もなくなる方向性にあるため、太陽光発電パネル向け以外はますますコストが合わなくなる。これ以上下げ幅が大幅に広がることはないと思われる」とも述べた。