山梨県が「富士山登山鉄道」断念、ゴム製タイヤの「トラム」に変更へ…知事「電車とバスのいいとこ取り」
県によると、この車両は中国企業が開発、同国内で実用化されているほか、マレーシアなどで実証実験も行われている。最高速度は時速70キロで、富士スバルラインの勾配や急カーブにも対応できる。県はすでにこの企業と連絡をとり、10月中旬には担当者がマレーシアでの実験を視察したといい、長崎知事は「大幅なコストダウンが実現できるのでは。電車とバスのいいとこ取りだ」とアピールした。
検証これから
ただ、現時点での不安要素も少なくない。
このシステムが日本国内で導入された事例はこれまでないといい、導入費用の具体的な試算や、安全性や環境面の検証はこれからの作業になっていく。
また、県は運行の具体的な開始時期も明示できておらず、地元との合意形成も含めた協議は難航する可能性もある。
新案公表を受け、富士吉田市の堀内市長はコメントを公表。「知事の英断に敬意を表したい」と一定の評価をしたものの、「まだ詳細がわからないが、改めて地元の声に耳を傾け、慎重に議論を進めてほしい」とけん制した。
また、富士山登山鉄道に反対する会の上文司厚代表は「結果的に署名活動が功を奏したと思う」としたが、「『トラム』は鉄道よりはいいが、富士山の景観には合わない。鉄道でないからいいという話ではないので、今後も富士山の自然を壊さないようにということは訴えていきたい」と話した。