タワマン地獄にはまる配達員 1棟で4時間超えも「別料金もらいたい」
ロボット導入による改善はこれから
一つの手は、マンションの管理組合が主導してルールや設備を変えることだ。例えば、住戸の前に荷物を置く「置き配」を認めたり、宅配ボックスを増設したりすれば、再配達を削減できる。 住民個人の工夫もできる。宅配ボックスに届いた荷物をすぐ回収するだけでもメリットは大きい。またマンションのルールを分かりやすく明示することも効果がありそうだ。ウーバーイーツの黒崎氏は、「注文時、アプリのチャット上で宅配のルールを伝えてもらうことで、配達員の負担軽減と迅速な配達につながる」と話す。 不動産デベロッパーも対応に動き始めた。日鉄興和不動産は2023年から、日建設計(東京・千代田)やソフトバンクロボティクス(東京・港)などと連携し、屋内配達にロボットを導入する実証事業に取り組んだ。エレベーターやフロアの移動をロボットに任せることで、配達員1人あたりの作業時間を半減できることが分かった。 ただし、普及へのハードルは高い。実証事業に携わった、日鉄興和不動産のシンクタンク部門であるライフデザイン総研室の佐藤有希チーフマネージャーは「ロボットへのニーズがあることは分かったものの、コストなど課題があり実際の導入には時間がかかりそうだ」と話す。 建物内の安全性や住戸からの眺望はタワマンの大きな魅力だが、宅配サービスなどの利便性といかに両立させるか、一段の工夫が求められている。
馬塲 貴子