山城、京都勢初のセンバツ21世紀枠で出場なるか 夏の地方大会皆勤校 13日発表
京都勢初の21世紀枠出場へ前進なるか-。来春の第97回選抜野球大会(3月18日開幕、甲子園)の21世紀枠候補9校が、日本高野連から13日に発表される。日刊スポーツでは近畿エリアの各府県で推薦された一部の高校を紹介。第1回は全国に15校しかない夏の地方大会皆勤校の1校で、今秋の京都府大会で4強入りを果たした伝統校の山城にスポットを当てた。 ◇ ◇ ◇ ◇ 金閣寺の約2キロ南にある学校内の砂のグラウンド上に、山城ナインの活気あふれる声が響き渡る。練習場は全国大会常連のサッカー部と陸上部と共用。野球部はグラウンドの約半分に当たる左翼側が約40メートル、右翼側が約60メートルと狭い環境下の中で、34人の部員と3人の女子マネジャーが聖地を目指して精を出している。 学校は1907年(明40)に創立され、野球部は15年に創部。全国に15校しかない夏の地方大会皆勤校の1つで、OBには阪神の監督として85年に初の日本一へと導いた吉田義男氏(91=日刊スポーツ客員評論家)がいる。帽子とユニホームの右胸に施された、ヤンキースのロゴを模したという「Y(山城)」と「H(ハイスクール)」を重ねたシンボルマークは、吉田氏の高校在籍時に作られ、今もなお引き継がれている。 今夏は初戦敗退も、主力選手が複数人残り、秋の府大会では3回戦で東山、準々決勝では鳥羽と強豪を次々と撃破。春夏秋を通じて14年夏以来の府4強入りを果たし、21世紀枠が設立された01年以来2度目となる京都府の推薦校に選出された。母校を率いて5年目の岸本馨一郎監督(40)は「全力疾走や元気、攻守交代の早さだとかを評価していただけたのがすごくうれしかったですね」と喜んだ。 新チームからダブルキャプテン制を初めて導入した。指揮官が野球の技術、知識、判断力の高さに全幅の信頼を寄せる高尾輝捕手(2年)がゲームキャプテンを務め、「日常生活のところとか細かいところや周りが見える子」という池垣雄大内野手(2年)が試合以外のまとめ役として先頭に立つ。練習メニューは選手主導で考える時もあり、今秋から練習ごとに意識する部分の事前の共有を習慣化し、チーム力を高めた。 学校の取り組みとしては聴覚障害教育・支援教育部を設け、聴覚障害のある生徒の受け入れを71年から続けている。今春に卒業した野球部員にも聴覚障害のあった部員が1人いたといい、人工内耳を着用しながら昨夏もベンチ入りしていた。岸本監督は「聴覚障害持たれてる生徒たちとの野球を通じた交流を今後行っていきたい」と思い描く。 13日に21世紀枠の全国各地区の9校の候補選出され、その後1月24日に2校が選ばれる。選出されれば京都府勢では初の同枠でセンバツ出場となる。高尾は「もし今甲子園行っても現状では絶対1勝もできない」と危機感を募らせ「冬の練習頑張って、1勝できるように頑張りたい」と気を引き締めた。まずは13日の吉報を待つ。【古財稜明】 ◆近畿の21世紀枠推薦校 京都・山城・4強 奈良・奈良・準優勝 和歌山・紀央館・8強 大阪・市岡・16強 兵庫・西宮東・8強 滋賀・水口・8強 ※成績は秋季府県大会