巨人・鈴木尚広氏が語る日本S5つの勝敗ポイント「静の広島と動のソフトB」
ドラフト会議が終わり、いよいよ今日27日からは、プロ野球最大のイベント、日本シリーズが広島の本拠地、マツダスタジアムからスタートする。リーグ優勝した広島はクライマックスシリーズ(CS)のファイナルステージで巨人に1勝も許すことなく2年ぶり8度目の日本シリーズ出場。一方、リーグ2位のソフトバンクは、CSを勝ち抜いての“下克上”から日本一連覇を狙う。両球団は日本シリーズで初の顔合わせとなるが、シリーズのポイントはどこなのか、勝つのはどちらなのか。原辰徳新監督で再スタートする巨人の外野守備・走塁コーチに就任した“神の足”鈴木尚広氏に、今回は評論家の立場で展望を聞かせてもらった。
キーマンは柳田悠岐
鈴木氏は両チームのCSの戦いに「セ、パの野球の傾向が如実に出た」という。 「ソフトバンクは、西武との乱打戦を勝ち抜いた。データなのか、相性なのか、調子なのか、工藤監督は潔い決断で打線を激しく入れ替えてチームを変化させた。先発要員を中継ぎに回してブルペンをしっかりと整備。使える選手がたくさんいるから変化をさせられるのだろうが、こういう采配をふるうと、常に誰かにチャンスがあるので、選手のモチベーションが高まり、選手も期待に応えて結果につながる。それが勢いという形になっている」 ソフトバンクは、CSのファイナルステージの大事な初戦で西武の菊池雄星対策に1番・川島慶三、2番・上林誠知の打順に組み替えて攻略に成功、10-4で快勝した。翌日に5-13で逆襲されると、3戦目では調子の上がらない松田宣浩をスタメンから外して、三塁・グラシアル、左翼・中村晃、一塁・内川聖一という布陣を組み15-4でやりかえした。 本来は先発の武田翔太、石川 柊太、大竹耕太郎を中継ぎで使い、勝負の第5戦には、調子を見てルーキーのアンダーハンド、高橋礼を先発抜擢するなど、短期決戦用にチームを臨機応変に動かして“下克上”に成功した。 「広島は形を変えずにレギュラーメンバーで勝つというオーソドックスな野球。ソフトバンクと違って機動力があり、連打で打線がつながって点が入ると止められない怖さがある。中継ぎもシーズンの防御率同様、点は奪われていない」 一方の広島は“タナキクマル”に鈴木誠也、松山竜平がドシッと座る不動のラインナップ。ブルペンには、ジャクソン、フランスア、中崎翔太が揃い磐石でCS3試合では、投手陣はわずか3失点しかしなかった。それも強さの象徴だろう。 それらの戦いを踏まえて鈴木氏は、日本シリーズの優勝を占うポイントを5つ挙げた。 「広島は足を絡めた連打で果敢に攻めてくる。ソフトバンクは一発でねじふせる。両チームは共に攻撃的だが打線のスタイルは違う。ただ打線は広島よりソフトバンクが上。広島のピッチャー対ソフトバンク打線が焦点」 ひとつ目のポイントは、広島投手陣vsソフトバンク打線だ。ソフトバンクのチーム本塁打202本は両リーグのナンバーワン。チーム防御率4.12の広島投手陣が、そこに、どう立ち向うのか。 6月の交流戦は広島の1勝2敗。広島は、大瀬良、ジョンソン、九里亜蓮を立てたが、初戦では大瀬良がデスパイネの先制3ランを含めて7失点。打線も千賀滉大を打てずに0-8で完敗、第2戦はジョンソンが6回1失点と好投したが、2番手の今村猛が誤算で2-6、第3戦は中田賢一に襲いかかって鈴木、バティスタらが大爆発、九里が完投勝利した。 「交流戦では大瀬良投手が打ち込まれたが、その後、堂々たるエースとして優勝に貢献した。自信も生まれているし、あのときとは状況が違う。CSではジャイアンツ打線のデータを把握して、しっかりと抑えていた。 問題は、柳田選手をどう抑えるか。そこが広島が勝つためのポイントだろう。柳田選手は、CSのファイナルから乗りに乗っている。打てるツボをたくさん持っているので、いかに彼の前にランナーを置かないかが重要になる。意識しすぎてもダメだが、柳田選手が打ち出すと、ソフトバンクの流れになるだろう。打つべき人が打てば負けないし、そこがブレーキになると流れが一変する。それが短期決戦の怖さだ」 鈴木氏は、柳田悠岐をキーマンに挙げた。 シリーズ男を出した方が短期決戦は有利に運ぶ。 そこが2つ目のポイント。