タイヤ脱落事故はなぜ起こる? タイヤ交換1か月後に必ず点検が必要な理由とは
そもそもタイヤ脱落事故はなぜ起きるのか?
国土交通省では、タイヤ脱落事故の発生原因は「タイヤ交換時の作業不備」と「タイヤ交換後の保守管理の不備」の2つの要因と推定している。 前者のタイヤ交換時の作業不備とは、規定の締付トルクで締めていない可能性や、ホイール・ボルト・ナット等の錆やゴミを充分に取り除けていないことを指す。後者のタイヤ交換後の保守管理不備は、増し締めや日常点検が適切に行われていないことを指している。 基本的にタイヤは正しく締め付けを行っても、走行しているうちに緩み(初期なじみ)が発生する。この増し締めを行わない人もいるそうだが、タイヤ脱落はタイヤ交換後から1か月までの間に発生しやすいことが分かっていることから、タイヤ交換後に50~100kmほど慣らし走行をしたら、必ず点検を行うようにしよう。
増し締めと、すぐに試せる簡易点検
次に、タイヤ交換後に必要な増し締めについて説明する。増し締めとは、規定のトルクよりも強くナットを締め付けるものではなく、ナットの緩みを再確認するものだ。ここで逆に強く締め付け過ぎてしまうと、ナットの破損や、他のナットが緩むことになりかねないので注意が必要だ。 トルクレンチという締め付け値が分かるトルクレンチがあれば、自分で行える。メーカー規定のトルク値を設定し、締めたナットの対角線上にあるナットから順に締めていこう。トルクレンチがなかったり、作業に自信がない場合は、ディーラーや整備工場、タイヤ店に依頼したい。 他にも手軽な点検方法として、油性マジックでマーキングを行い、ホイールに対するナット位置のズレで、調整の必要性を目視判断する方法もある。ただし、乗用車の場合はナットが窪みに埋まっているようなホイールデザインが多いので、やはりトルクレンチでしっかり確認するのが安心だ。 タイヤ脱落事故は、やはり寒い地域の方が発生件数も多くなる。寒い地域ではタイヤ交換の機会が多いからだろう。また、2022年度に発生した大型車のタイヤ脱落事故140件のうち、73件(52%)が自身での交換後、35件(25%)がタイヤ専業店での交換後、25件(18%)が自動車整備事業者でのタイヤ交換後の事故であった。 プロのタイヤ交換の方が事故数は少ないものの、プロに依頼しても脱落事故は発生している。なぜかというと、交換時に正しい規定トルクで締めてあっても、初期なじみで緩むためだ。これには、素人もプロも関係ない。タイヤ脱落を防ぐには交換後しばらくしての増し締めが欠かせないことを覚えておいてほしい。 また、それ以外にも、ボルト・ナットの錆や汚れ、油分の不足なども脱落事故の原因になる。これらの異変に気付くためにも、日常的なタイヤ点検を習慣化しよう。
文=KURU KURA編集部 資料=国土交通省