なぜドイツには「孤独だと嘆く老人」がいないのか…死の瞬間まで「幸せでいられる高齢者」3つの共通点
■ヨーロッパ人はなぜ老いても孤独ではないのか 不安ばかり口にする人は、はっきり言って、若いときからあまりものを考えずに決断を人任せにする人です。自分で考えないから高齢者をねらった詐欺にひっかかる。健康が不安だから、テレビCMで見たサプリに手を出す。体の具合が悪くなる前から医者に行き、不要な薬を飲む。つくづく日本人はものを考えない民族だと思います。 一方、私が若いころ旅をしたヨーロッパの人たちは、こどものころから自分の頭で考えることを叩き込まれます。だから一人でも平気なのです。たとえばドイツ在住の友人いわく、「ドイツでは孤独だと嘆いている老人を見たことがない」。それはたぶん早い段階で自立することで、「人間は孤独なのが当たり前」ということを知っているからでしょう。 またオランダではデイサービスを利用するような認知症の人であっても、ほとんどが一人暮らしです。近所の人や地域が一人暮らしの高齢者を支えるしくみができている。親も自立した個人なので、こどもが親の介護をするという発想はありません。 結局、老後の不安をなくそうとして、お金や健康に気をつけてもあまり役に立ちません。お金や健康は、木でいえば枝葉の話。やっぱり木は「根」が大事。つまり考え方、心の持ち方です。だから老後がやってくる前に、自分の心の持ち方をしっかりさせること。「なんで自分は命をもらったんだろう」「どうやって生きたら、いい人生だったと言えるんだろう」ということを、真剣に考えたほうがいい。そこさえしっかりしていれば、少しくらい年金が足りなかろうが、病気になろうが、ちゃんとやっていけます。 老いたらお金なんかいくらあったって、あまり意味はありません。もちろん食べていけないのは困るけれど、食べていけるのであれば、もうそれ以上望む必要はない。私が仏教について勉強したとき、いちばん心に残ったのは「少欲知足(しょうよくちそく)」という言葉です。欲があるから不安になる。「ずっと健康でいたい」「お金に不自由したくない」「認知症にはなりたくない」「家族に囲まれて暮らしたい」「死ぬときは一人じゃなくて、誰かにそばにいてほしい」……これはみんな欲なんです。でも知足、つまり足るを知ると、「まあ、こんなもんでいいかな」と思えますし、日々の当たり前の暮らしに感謝の気持ちがわいてくるはずです。